タイガー・ウッズVSリー・ウェストウッド 世界ランク首位をかけての戦い
世界の強豪が続々参戦、より魅力的な、グローバルなツアーへ/2009年欧州男子ツアープレビュー
2009年度のヨーロピアン(欧州)ツアーは大きな改革が行われて注目度がかなり高くなっている。既に2008年11月にシーズンは開幕、5試合が消化している中、現時点で予定されている賞金ランク対象の試合数はアメリカPGAツアーを上回る52試合。新設大会は4試合(スペイン、フランス、チェコ、ドバイ)。スケジュールに載っている試合にはメジャー4競技、世界ゴルフ選手権WGC 3試合が含まれている。
アメリカPGAツアーの「FedEx Cup」に対抗して2009年度の欧州ツアーは4つの新しい試みを導入していく。
1. 賞金総額1000万ドルの最終戦を中東ドバイ(UAE)で開催
2. 総額1000万ドルのボーナスを導入
3. 「賞金ランク」という呼び名を「ザ・レース・トゥ・ドバイ」
4. ツアーロゴを改新
1. これまでスペイン開催だった最終戦「ボルボマスターズ」は2008年度を持って終了。2009年度からはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで「ドバイワールドチャンピオンシップ」が行われる。最終戦でプレーができるのは欧州ツアーメンバーが条件、そして前週の賞金ランク60位までの選手だけとなる。 優勝者は166万ドル(約1億5000万円)という高額を獲得。
2. 最終戦が終了した時点で上位15名には賞金ランクに加算されるボーナス賞金が用意されている。ランクトップの選手にはなんと200万ドル(約1億8000万円)。2位 150万ドル(1億3500万円)、3位 100万ドル…、以下 15位でも 25万ドルがボーナスとして贈られる。
3. 欧州ツアーはこれまで賞金ランクのことを「オーダー・オブ・メリット」(英国メリット勲位)として呼ばれていたが 2009年度からは「ザ・レース・トゥ・ドバイ」という正式名称に変更となった。メディアを含め一般ゴルフファンにもしっかりとこの「ザ・レース・トゥ・ドバイ」を使って欲しいとツアー代表のジョージ・オグレティー氏からの発表があった。
4. 1900年前後に活躍した伝説のゴルファー、ハリー・バードン氏のシルエットがモデルとなっている。そしてツアー公式HPに登場しているのが「ワールド スカイライン グラフィック」と呼ばれる、欧州ツアーが訪れる今季27ヶ国と地域の都市の建物をシルエットにしたロゴも登場している。
世界ランク上位に位置するセルヒオ・ガルシア、パドレイグ・ハリントン、ロバート・カールソン、ヘンリック・ステンソン、アーニー・エルス、リー・ウェストウッドなどの実力者の更なる活躍が期待される中、ニューカマーとして新しく参戦する選手には昨夏の「全英オープン」でアマチュアながら5位に食い込みシルバーメダリストに輝いたクリス・ウッド(21歳)に注目したい。195cmという長身のウッド(イングランド)は距離だけでなくショートゲームも巧く、4日間を通じて攻撃的なゴルフが展開できる実力派。そしてツアーではまだ未勝利ながら既に世界ランクを39位(2008年度最終ランク)に上げてきているローリー・マキロイ(北アイルランド)は欧州ツアーフル参戦2年目となる。今年はメジャー競技を含めアメリカ参戦も多くなる為、体調管理やスケジュール調整が鍵となってくるだろう。
これまでUSPGAツアーをメインとして戦っていた欧州選手が、2009年度欧州ツアーの試合数を増やしてくるという予想が増えている中で、多くの選手が欧州ツアーのメンバーになる手続きを済ませ話題になっている。アンソニー・キム(米)、カミロ・ビジェガス(コロンビア)、ロバート・アレンビー&ジェフ・オギルビー(豪)、ロリー・サバティーニ(南ア)、スコット・バープランクなどが既にメンバーになることを表明。メンバーになると12試合の出場義務試合数が発生するが、メジャー競技(4試合)とWGC世界ゴルフ選手権(3試合)の計7試合も出場試合として認められることになっている。
ハリントンがここ2年間でメジャー3勝。欧州ツアーで腕を磨いたアンヘル・カブレラ(アルゼンチン)やトレバー・イメルマン(南ア)などもメジャーチャンピオンに輝いている。欧州ツアーはUSPGAツアーについで2番目のツアーというよりもグローバルに展開する「ワールドツアー」として確立しつつある。ツアー公式HPによると、2009年度のツアーメンバーは世界47カ国の地域・国々の出身のプロゴルファーで形成されているという。