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倉本昌弘・五輪強化委員長「選手に良い環境を作ることしかできない」

2016年8月にブラジルで行われるリオデジャネイロ五輪で、112年ぶりにゴルフ競技が復活する。男子は8月11日、女子は17日から4日間の日程で組まれ、72ホールストロークプレーの個人戦を実施する。

五輪の意義、メダルの可能性、「強化」とは…。昨年7月にオリンピック・ゴルフ競技対策本部の強化委員長に就任した日本プロゴルフ協会(PGA)の倉本昌弘会長に率直な胸の内を聞いた。

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■ メダルへの可能性

――ゴルフが112年ぶりに復帰するリオ五輪の意義とは
「2020年の東京五輪に向けても、リオでいろいろな経験ができる。東京五輪を成功させるという意味においても、リオは大きな意義を持っていると思います」

――日本がメダルを獲る可能性は?
「可能性はあると思います。『マスターズ』や『全米オープン』は世界のトップ100がほぼ出ている。オリンピックはトップ100が全部出る?違いますよね。世界のトップ30くらいでしょう。ということは、日本、例えば松山英樹にとっては間違いなくチャンスがあると思います。それも含めて、今度のオリンピックには日本にとって、ものすごくチャンスはある。そのチャンスを生かせるように、我々も最大の努力をしていきたい」

■ 「私たちができること」

――リオ五輪に向けた取り組みについて
「我々が選手を選べるわけではない(※編注)ので、何かをやりたくても、何もできないというのが現状です。選手たちに何かを教えるにしても、選手は個々にコーチを付けているわけだし、我々と契約関係にあるわけでもない。私たちができることは、選手たちに良い環境を作ってあげることだと思っています」

――選手にとっての「良い環境」とは
「選手個々がストレスなく、試合に臨めることですね。私も丸山(茂樹ヘッドコーチ)も相談を受ければ情報を提供しますし、ディスカッションなどもできればいい。開催が迫れば、海外と日本にいる選手たちがみんな集まってリラックスできる場所も提供していきたい。候補地はこれから選んでいくことになりますね」

■ 東京五輪を視野に

――2020年に向けた「成功」イメージとは?
「我々が成功のイメージを持っても仕方がない。それはただの自己満足でしかない。世論が、東京五輪に向けて盛り上がることにつなげないと意味がないんです。普段からゴルフに関心がある人をたくさん集めない限り、関心なんてどこにも生まれない。特に、若い人たちやゴルフをやっていない人たちに関心を持ってもらわないといけない。今の若者たちはテレビをあまり見ない上に、開催の時間帯(時差は-12時間)もある。我々が(五輪を通じて)若者に対してどうアクセスしていくかを、もっと真剣に考えていかないといけないと思っています」

――そのために求められるのは、やはりメダル?
「結果はメダルだけだと思い込むこと自体、間違いだと私は思っています。もちろん結果も大事ですが、たとえメダルが獲れなかったとしても、メダルの獲得とは違う、もっと大きなウエーブが起きるかもしれない。重要なのは、この結果になったときにこうあるべきだ、こうするべきだ、というものがあること。東京五輪に向けてひとつの契機になればと思います」

(※)男女それぞれ16年7月11日時点のオリンピックランキング上位60人が出場権を獲得。オリンピックランキングは以下の条件で決定される。

(1)世界ランキング15位までの選手<各国最大4人>
(2)世界ランク16位以下の選手<(1)の有資格者を含め、1カ国2人を上限>
(3)5大陸(アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニア)ごとに、最低1人の出場枠を保証
(4)大会ホスト国のブラジルは、最低1人の出場枠を保証

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