2021年 母国初の快挙を成し遂げた男たち【前編】
2021年 母国初の快挙を成し遂げた男たち【後編】
2021/12/29 17:30
メジャー王者の松山英樹からジョン・ラーム(スペイン)、そしてシルバーメダルと新人王を獲得したマティアス・シュミット(ドイツ)まで、2021年にそれぞれの母国のゴルフ界で初の快挙を成し遂げた選手たちを、2回にわたって振り返った。後半をお届けする。
マティアス・シュミット/ドイツ人選手初のシルバーメダル獲得
マティアス・シュミットは2021年、2度にわたって勝者たちの仲間入りを果たしドイツに歴史をもたらした。最初の機会は7月にロイヤルセントジョージズで開催された「全英オープン」でのもの。第2ラウンドに「65」をマークしたシュミットは、ドイツ人選手として初めてメジャー最終戦のローアマチュアに贈られるシルバーメダルを獲得した。
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直後にプロへ転向した彼は、「ダッチオープン」で2位に入ると、その他にも2度のトップ10入りを果たし、サー・ヘンリー・コットン最優秀新人賞を獲得。これはドイツ人としては、マルティン・カイマーに次ぐ史上2人目の快挙だった。「ドイツ人としてマルティン・カイマーに次ぐ2人目の新人王となれたことは、信じられないほど素晴らしいこと。正直なところ、自分にこんなことが起こるなんて想像もしていませんでした」と、シュミットはプレーヤーブログにつづっている。
「僕のマネジャーのイリクがこのニュースを知らせてくれたとき、これまでの歴代受賞者リストの入った記事を僕に送ってくれました。あの選手たちの仲間入りをしたことは光栄なことです。僕にとって、かなり非現実的な数カ月でした」
「僕がこの感情を抱いたのはここ数ヶ月で2度目のことであり、ゴルフを観戦が大好きな真の“いちゴルフファン”として、自分の名前がこのゲームの歴史の一部になるのは、素敵なこと。全英でシルバーメダルを獲得したときも、同じように感じました。こちらも歴代の獲得選手たちは並外れたリストになっていて、僕のヒーローだったタイガー・ウッズ、ロリー・マキロイ、そしてマルティン・カイマーの3人と、この2つの栄誉で僕の名前が同列に挙がったと思うと、信じられない気がします」
アブラム・アンセル/メキシコ人として初めてツアーで優勝
アブラム・アンサーも、今季母国の歴史に名を刻んだゴルファーの一人であり、彼はメキシコ人として初めてDPワールドツアーでの優勝を遂げることで、それを果たした。2021年「WGCセントジュード招待」の最終日に「68」をマークした30歳は、72ホールを通算16アンダーでフィニッシュすると、プレーオフでサム・バーンズと松山英樹を下し、TPCサウスウィンドで優勝を果たした。
2019年にヨーロピアンツアーに初めて加わり、その年の「WGC HSBCチャンピオンズ」での4位タイを自己ベストとしてきたアンサーは、この勝利が次世代のインスピレーションとなることを願うと述べた。「メキシコのゴルフは、数年前よりも良い状況になっているけれど、今後もっと良くなると思う」
「今週の僕のプレーが、子どもたちにとってインスピレーションとなり、ゴルフをプレーし、このゲームについて学び、このゲームで成長するきっかけになればと思う。僕は母国の向かう将来にワクワクしているんだ」
ベルント・ヴィースベルガー/オーストリア人として初めて「ライダーカップ」に出場
ツアー8勝のベルント・ヴィースベルガーも「ライダーカップ」デビューを果たすことで歴史にその名を刻んだ。ヴィースベルガーはそれまで欧州を代表して「ユーラシアカップ」に2度出場していたが、ル・ゴルフナショナルで開催された前回の「ライダーカップ」では、怪我のためスカイドイツの解説者をしていた。
同大会に刺激を受けたヴィースベルガーは、2019年に復帰すると、同シーズンに3勝を挙げ、「ライダーカップ」選考レースへの弾み付け、2021年にも「メイド・イン・ヒンメルランド」でツアー8勝目を挙げ、遂に念願の欧州代表入りを果たした。
そして、金曜午後の第1組としてポール・ケーシーとスタートしたことで、ヴィースベルガーはオーストリア人として初めて「ライダーカップ」でプレーした選手となったのである。「この週は突出した瞬間が2度あったけれど、最も誇りを感じたのは、オープニングセレモニーでパディが僕のことを『ライダーカップ』で初めてプレーするオーストリア人選手と紹介してくれた時だった」と、ヴィースベルガーはプレーヤーブログにつづった。
「あれは僕にとって特別だったし、僕の周りにいる人々やオーストリアのゴルフ界全体にとっても特別だった。そして金曜の午後に、本当に『ライダーカップ』出場選手として初めてプレーするのは、重大なことだった」。「ゴルフでは、あれと比べられるものはない。僕は全てのメジャーに出場しているけれど、あれは違うレベルの成功であり、僕のこれまでの経験とは全く異なるもので、忘れることはないだろう」
コリン・モリカワ/米国人として初めてレース・トゥ・ドバイを制覇
コリン・モリカワは2021年「DPワールドツアー選手権」を制覇し、米国人として初めて「レース・トゥ・ドバイ」を制覇することで、瞠目の2021年シーズンを締めくくった。プロとしてわずか2年半の間に、モリカワはメジャー2勝とWGC1勝を挙げ、ワナメーカートロフィーとクラレットジャグに加え、「ロレックスシリーズ」での勝利とハリー・バードントロフィーをも獲得したのである。
「ドバイデザートクラシック」でヨーロピアンツアーのシーズンをスタートさせたモリカワは、ザ・コンセッションでの「WGCワークデイ選手権」で世界ゴルフ選手権初優勝を遂げ、「レース・トゥ・ドバイ」のランキングを2位に上げた。その後、同ランキングでトップ3から一度も脱落することなく、「マスターズ」でトップ20入りを果たすと、タイトル防衛に臨んだ「全米プロゴルフ選手権」でトップ10入りし、「全米オープン」ではトップ5に入った。
モリカワは、「米国人として初めてヨーロピアンツアーで年間王者となり、自分の名前を多くの殿堂入り選手たちと同列に並べられたことは、特別なことであり、光栄なこと」と語る。「そう話すだけで興奮する。2年前、こうなることは僕の考えになかった。世界中でプレーしよう、とは思っていたけれど、どういう札が配られるかは、僕らには分からなかったんだ」