ポール・ケーシーが「KLMオープン」の最終日を「66」でラウンドし、驚くべき週末のゴルフを成し遂げて、欧州ツアー13勝目を挙げた。

イングランドのケーシーは大会2日目を終えた時点で、首位から8打差。わずか2ストロークの差で予選を通過したに過ぎなかったが、土曜日にコースレコードと並ぶ「62」をマークすると、日曜日も凛としたパフォーマンスを継続し、通算14アンダーまで伸ばした。2位のサイモン・ダイソンに1打差をつけ、ケネマーG&CCでの勝利を挙げた。

首位のロメイン・ワッテルから4打差で最終日を迎えたケーシーは、前半を「32」でラウンドして1打差の首位に立つと、そのまま後続に捕まることなく、このエモーショナルな2週間を締めくくった。

9月1日には37歳になるフィアンセのポリアンナさんが長男を出産したばかりで、ケーシーは「父親として最初の大会で、父親として初めての勝利だ」と乙なコメントを発した。

3日目を「64」でラウンドしたロメイン・ワッテルは、3打差の首位で最終日を迎えた。2位だったリッチー・ラムゼイは出だしの2ホールをボギーとしたが、他の選手たちが急激に迫ってきた。

勢いが最も顕著だったのがケーシー。ロングホールの2番でグリーンエッジから寄せてバーディを奪うと、続くパー3の3番ではティショットをタップイン圏内に寄せて楽々バーディを奪った。

5番でも4.5メートルのバーディパットを沈めて首位に肉薄すると、ロングホールの7番で2オン、2パットのバーディを奪った。ワッテルがこのホールをボギーとしたため、一気に首位に躍り出た。

ワッテルは11番でこの日2つ目のボギーを叩いたが、ロングホールの12番ではバーディを奪って盛り返しを見せ、同ホールでティショットを大きく曲げたケーシーは何とかパーをセーブした。

ワッテルがお粗末な2打目から13番をボギーとする一方、ケーシーはすばらしいドライバーショットを放った14番でバーディを奪い、一時的に2打差の首位に立った。

ケーシーは15番で週末2つ目のボギーを叩いたが、ワッテルはこの日を「74」で終え、大会3勝を誇るサイモン・ダイソンも後半「30」の猛チャージで最終日を「65」でラウンドするも、遅きに失した。

「正直、ちょっと胸が詰まるね」とケーシー。「3日と半日の間は気苦労がなかったね。というのも、良いプレーをするにしろ、お粗末なプレーをするにしろ、家へ帰れば赤ちゃんに会えるんだからね。ラスト3ホールで本当に勝ちたいと思った、息子がまだこの優勝の意味を理解できるわけではないにしろね」

「この大会は90年以上続いていて、トロフィーにはセベ、ランガー、ペイン・スチュワートらの名が刻まれている。偉大なる選手たちの名前に僕の名が加わるのはとても光栄だ」

「第一子を得たことが、ただただ大きな喜びだった。良いゴルフがプレーできたとはいえ、今週は特に何かを期待していたわけではなく、練習も少ししかしなかった。できるだけ家で過ごしたかったので、水曜の朝のフライトでここへ来たくらいだから、自分がどんなプレーをするのか懸念していた。まさかこんな結果になるとは夢にも思わなかった。コースでベストを尽くさなかったというわけではないけれど、どういう結果が待っているかなんて誰にも分からないということだよ」

「天にも昇る心地だね」

天にも昇る心地がしたのは、ケーシーだけではない。最終日を「67」で回り通算12アンダーで大会を終えたイングランドのアンディ・サリバンが15番でホールインワンを達成し、懸賞の宇宙旅行を勝ち取ったのである。

かつてのウォーカーカップのスター選手であるサリバンは「今日はジェットコースターのような一日で、今週はずっとそんな感じだったから、宇宙行きで仕上げられたのは最高だ」と語る。「いくつか悪いホールがあり、（ホールインワンは）カムバックしている最中のことだった。キャディが9番アイアンを取り出して、カット打ちで行けと言ったんだけど、幸運にもその通りに打てて入ったんだ」

「（宇宙へ）行くかはまだ分からないな。嫁に確認しないとね。高所恐怖症で飛行機も苦手なんだ。 勇気を振り絞らないといけないね。僕の新しいニックネームはスペースマン（宇宙飛行士または宇宙人の意）とはならないだろう」

「娘は僕のことを世界最高の父親だと思うだろうね。プロゴルファーにして宇宙飛行士なのだから、世界最高の親父だよ。真剣に勇気を振り絞る必要があるけれど、人生で一度の経験だから行かなければならないだろうね」

「僕のキャディが『‘俺たち’宇宙行きだ』と叫んだんだ。笑い転げたよ。現実離れした経験だからね。ラウンドを通して最高のプレーができていたわけではなかったのに、ああいうショットが打てたんだ。あそこでは2つバーディを奪っていたけれど、そんなに近くに寄ってはいなかった。だから入るなんて思ってもいなかったよ」

「ジェットコースターのような一日だった。ベルトで固定してコースターで一周したようなものだよ。全体的にはすばらしい1週間で、僕自身『KLMオープン』を楽しむことができたよ」