シーズンはいよいよ佳境へ ポルトガルでシード権を懸けた最終戦
2016年 ポルトガルマスターズ
期間:10/20〜10/23 場所:オセアニコ ビクトリアGC(ポルトガル)
ポルトガルでの生き残りをかけた最後の戦い
「ポルトガルマスターズ」は、選手によってはワーキングホリデーとしての位置付けで評価を高めてきた大会だが、今週、土壇場でシード権争いを繰り広げる選手にとっては、全く気の抜けない大会となる。
それ故、2週間後のトルコで遂に幕を開ける多額の賞金の懸かった「ファイナルシリーズ」行きを既に確定させているディフェンディングチャンピオンのアンディ・サリバンや、「ライダーカップ」でサリバンのチームメイトだったトーマス・ピータースらは、余裕を持ってアルガルベの地をエンジョイすることができるが、現在「レース・トゥ・ドバイ」で111位につけるエディー・ペパレルは、その何にも変え難い重要なランキングの維持に向け、両肩に重圧を感じながら不安な心持ちで大会を迎えることになる。
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今季を持ってスウェーデンのデビッド・リングマースのメンバーシップが失効し、「レース・トゥ・ドバイ」のランキングから除外されることになるため、「ポルトガルマスターズ」終了後のランキングで上位111位の選手に来季ヨーロピアンツアーのシード権が与えられることになる。
従って、イングランドのペパレルやその他の瀬戸際に立たされた選手たちにとって、テレビドラマなど及びもつかない人間ドラマが繰り広げられる今週の大会は、神経過敏、不安と焦燥がない交ぜになる一大事となる。
これは正に、プレミアリーグ昇格を懸けたフットボール2部リーグのプレーオフのゴルフ版であり、「約束の地」へ辿り着くことができれば、莫大な冨にありつくこともできる。しかし、それを逃せば、スポーツ界の荒野へ迷い込むリスクを背負わなければならい。
ペパレルは先週の「ブリティッシュマスターズ」で傑出した好成績を残すことができれば、その時点で未来が約束されるチャンスはあったのだが、最終日を「70」でラウンドした彼は22位タイで大会を終えたため、来季のシード権確保へ向け、ここビラモウラでも力強いパフォーマンスを見せることが必要となった。
しかし、「ブリティッシュマスターズ」前は6戦連続で予選落ちを喫していたペパレルにとって、少なくとも先週の成績は、不調を伝える警告音を停止させるだけの効力は持つことになるだろう。
対照的なのは「レース・トゥ・ドバイ」のランキングでペパレルの一つ上につけるスコットランドのクレイグ・リーで、彼はここ8大会で予選落ちは僅か2回と安定している。とは言え、上空で旋回するハゲワシの餌食とならないためには、十中八九、予選通過が必須となるだろう。
仮にペパレルが予選落ちとなった場合、そのペパレルの不運を最大限に活かすことができる位置につけるのはジェイソン・スクリベナーである。彼が52位以内に入り、ペパレルが予選を通過できなければ、二人の立場は入れ替わり、スクリベナーは昨年経験したQスクールのファイナルステージ行きを免れるのである。
同様に、10年前にプロゴルフ界で頭角を現してスターダムへと上り詰めたオリバー・フィッシャーも、ポルトガルでの土壇場の逆転を狙っている。イングランドのフィッシャーは来季のシード権確保へ向け、最低41位以内が必要となっており、一方、同じくアルガルベで好パフォーマンスが求められるのは同胞のグレーム・ストームで、目下「レース・トゥ・ドバイ」で116位につける38歳の彼は29位以内が必須となっている。
大会後のランキングの置換は幾通りもの可能性があるため、選手たちはとにかく何が必要とされているのかを見定め、それに向けて邁進するのみである。まあ、選手たちはしばしば好んで「勝てば全て解決する」という言葉を口にするが、今週ほどその言葉が的を射ていることもあるまい。