中国で本気モードに入ったロリー・マキロイ
2016年を振り返る: ロリー・マキロイ編
「今日ほどプレッシャーを感じたことはなかった」
欧州と米国で年間王者に輝き、メジャー4勝、世界ナンバーワン、「ライダーカップ」で3度チームの勝利に貢献したロリー・マキロイの辞書に「プレッシャー」という言葉があろうとは、誰も思わないだろう。
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2016年シーズン序盤の欧州ツアー4戦で全てトップ6入りを果たしたマキロイは、再び成功へ向け着実な歩みを見せた。
「ライダーカップ」のスター選手であり、「レース・トゥ・ドバイ」のディフェンディングチャンピオンでもあるマキロイは、トップ10入り10回でシーズンを終えた。2016年はザKクラブで開催された「アイルランドオープンbyロリーファウンデーション(2013年にマキロイが設立したチャリティー財団)」で史上6人目のアイルランド人王者(マキロイは北アイルランド出身)となった年として本人の記憶に刻まれることになるだろう。
スタッツは、マキロイが2016年で最も安定した選手の一人だったことを雄弁に物語っており、世界ランキング2位で1年を終えたことにも表れている。平均ストローク69.7はツアー3位の数字であり、パーオン率77.5パーセントは2位。彼のパッティングはシーズンを通して精査の対象となったが、終わってみればパーオン時の平均パット数はわずか1.722と、全体で4位につける上々の成績を残した。
力強いスタート
マキロイは自身にとって昨季初戦となった「アブダビHSBCゴルフ選手権」で、7度目の出場にして6度目のトップ3入りを決めた。マキロイは各ラウンドともトップ3に入ったが、最終日は米国のリッキー・ファウラーとベルギーの新星、トーマス・ピータースの後塵を拝した。
その後、マキロイは「オメガドバイデザートクラシック」でヘンリック・ステンソンと並ぶ6位タイに入ると、「WGCキャデラック選手権」で3位タイに入った。「WGCデルマッチプレー」では準決勝まで駒を進めたが、大会王者となったジェイソン・デイに敗れた。
オーガスタでの「マスターズ」は10位に入り、2016年シーズンの序盤はマキロイにとって力強い出だしとなった。
とは言え、マキロイの2016年は5月の運命的な週末に、欧州ツアー13勝目となる地元で挙げた格別の勝利抜きには語れない。
アイルランドでの圧巻のパフォーマンス
「アイルランドオープン」へ向け、全ての視線はマキロイへと注がれた。優勝候補の地元選手、そしてマキロイが「ライダーカップ」デビューを果たす2年前の2006年に欧州代表が「ライダーカップ」を制したコースとあって、舞台は完全に整っていた。
初日を終え、マキロイは「マスターズ」王者のダニー・ウィレットに2打差をつけて首位に立ったが、金曜のラウンド後は1ストロークにその差が縮まった。第3ラウンドを2アンダーの「70」でラウンドしたマキロイは、3打差の首位で最終日を迎えると、タイトルを懸けてスコットランドのラッセル・ノックスとし烈なバトルを繰り広げた。
首位が入れ替わる展開となるなか、マキロイはパー5の16番で、残り271ヤードの2打目を3Wでグリーンを捉える年間ベスト級のショットを放ち、このホールをバーディとして1打差の首位に立って勝利に近づいた。
17番をパーとしたマキロイは、18番でも年間ベストショットの候補となる圧巻のショットを放った。マキロイは残り253ヤードをフェアウェイウッド一振りでピンそば1.2メートルへ乗せ、3パットでも優勝というイーグルパットを残したのである。
「普段はゴルフや勝利で感情的になることはないのだけど、これはちょっと意味するものが大きいんだ。というのも、これは僕のためだけの勝利ではなく、色々な人のための勝利だからね」
彼は優勝賞金66万6660ユーロ全額を彼の財団に寄付し、すばらしい1週間を締めくくった。
アメリカ中が注目
2016年シーズン、マキロイは大西洋の両側で新聞見出しを飾る存在となった。彼は米PGAツアーで2勝してフェデックスカップも獲得し、4度目の出場となるヘイゼルティンナショナルでの「ライダーカップ」へ向け、理想的な入り方をしたのである。
しかし、「ライダーカップ」の幕開けは、金曜午前中のフォアサムで4戦全敗という、ロリーにとっても欧州代表にとっても残念なものとなった。キャプテンのダレン・クラークは、午後のフォアボールへ向け、ペアリングを変更し、マキロイとピータースを組ませることにしたのだが、これが今後数年間期待を持たせる強力なパートナーシップを生み出したのである。
このペアはダスティン・ジョンソンとマット・クーチャーのペアを3&2で下すと、土曜午前中のフォアサムは先鋒として出場し、リッキー・ファウラーとフィル・ミケルソンのペアを4&2で撃破した。土曜の午後も先ぽうを務めた彼らは、ジョンソンとかつて欧州チャレンジツアーで活躍したブルックス・ケプカのペアを3&1で下し、マキロイは、ピータースによる5戦で4ポイント獲得という新人選手としての欧州代表記録の更新に一役買ったのである。
マキロイは、米国代表の守護神となったパトリック・リードに敗れて「ライダーカップ」を後にすることとなったが、シングルマッチとしては歴史に残る名勝負を繰り広げたことで、彼自身、下を向くことなくヘイゼルティンを後にすることができた。
パンチの応酬を繰り広げた2人は、8番でマキロイが12メートルのパット決めてみせると、リードが7.5メートルを入れ返すなど、最後までつばぜり合いを続けた。決着がつかないかに見えた勝負だったが、16番でバーディを奪ったリードが引き分け以上を確定させた。マキロイも食い下がり、17番を獲って望みをつないだが、リードが18番を獲って米国代表に貴重な1ポイントをもたらしたのである。
「パリでは、僕らは強くなって帰って来る」
大団円もヘッドライン
最後の2大会を4位タイと9位タイで終え、シーズンを締めくくったマキロイは、今一度新聞見出しを飾ることに。しかし、ここで助けとなった欧州のヤングスターはトーマス・ピータースではなかった。我らがビリーによるリトルインタビューシリーズへの出演が大反響を呼んだのである。