ドイツのマッチプレーで注目の3試合
2017年 サルタイアエナジー ポール・ローリーマッチプレー
期間:08/17〜08/20 場所:バート グリースバッハ ゴルフリゾート(ドイツ)
「ポール・ローリー マッチプレー」の大会アラカルト
先週の「全米プロゴルフ選手権」で今季のメジャーは幕を下ろした。今週、ヨーロピアンツアーは大陸へと戻り、今季からドイツのバート グリースバッハ ゴルフリゾートへと戦いの舞台を移した「サルタイヤエナジー ポール・ローリーマッチプレー」が開催される。ここに、大会の重要事項を記そう。
■2016年大会を振り返る
アーチャーフィールドリンクスで開催された昨年の大会は、アンソニー・ウォールにとってお伽噺となった。イングランド出身の彼は、何と16年204日ぶりとなる、2度目のヨーロピアンツアー制覇を遂げたのである。2000年にツアー初優勝を遂げたウォールは、次の優勝となった昨年大会までに431大会に出場したのだが、これはヨーロピアンツアー新記録だった。
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昨年の勝利はウォールにとって易しいものではなかった。当時41歳だったウォールは、その1カ月前に「アバディーンアセットマネジメント スコットランドオープン」を制し、スコットランド2連勝を狙っていた好調のアレックス・ノレンを退けなければならなかったのである。なお、ノレンはこの大会の後、シーズン終了までに3勝を挙げたほどの好調だった。
緊迫した展開となった決勝では、ウォールがパー5の11番でバーディを奪って1アップのリードを奪うと、その後、12番と14番ではバンカーからのパーセーブに成功し、その差を守った。1オン可能なパー4の16番では両者ともに寄せワンのバーディを奪い、続く17番ではノレンのバーディパットがカップの縁に嫌われ、オールスクエアとするチャンスを逸した。最終18番ではウォールがパーとしたのに対し、ノレンは勝負をエクストラホールへと持ち越す4.5メートルのバーディパットを決め切れず、ウォールがトロフィーを掲げた。
「とにかく素晴らしい心持ちだ。どれだけ嬉しいか、言い表すことはできないよ」とウォールは大会後に述べた。「もう勝てないのではないかと思ったこともあった。両親のためにも、とにかく嬉しいんだ。2人とも、僕が若かった頃は、すごく投資してくれたからね。僕には、父の勝利を見たがっている子供が2人いるんだ。言葉がない。素晴らしいよ」。
■フィールド
今週は、2週間前の「WGCブリヂストンインビテーショナル」でヨーロピアンツアー600出場を果たした、大会ホストのポール・ローリーが現場に帰って来る。1999年の「全英オープン」王者で、「ライダーカップ」2回の出場を誇るローリー以外も、ドイツに集結するフィールドは分厚い。
今回のローリー同様、最近、チャレンジツアーの大会でホストとして名を連ねたロバート・カールションも出場する。かつてのヨーロピアンツアーNo.1選手であり、現「ライダーカップ」副キャプテンでもある。4月の「ハッサンIIトロフィー」を制し、今季2勝目を狙うエドアルド・モリナリは、先週の「全米プロゴルフ選手権」で見事なパフォーマンスを見せた弟のフランチェスコから大いに刺激を受けているだろう。
ベルギーのニコラス・コルサーツやフランスのビクトル・デュビッソンといった「ライダーカップ」出場経験選手も出場するほか、マルセル・シーム、マックス・キーファー、フロリアン・フリッシュ、そしてアレクサンダー・クナッペといったドイツ勢も地元優勝を狙っている。
■コース
6つのゴルフコースからなるバートグリースバッハ ゴルフリゾートは、欧州最大のゴルフリゾートであり、「ポルシェヨーロピアンオープン」の第1回と第2回大会を開催するなど、ここ3年連続してヨーロピアンツアーの大会を開催している。
ワールドカップを制覇したドイツのサッカー選手、フランツ・ベッケンバウアーの名に由来するベッケンバウアーコースは、バックティからの全長は7188ydとなっており、「マスターズ」2勝のベルンハルト・ランガーにより設計された。同コースは、2013年から2015年にかけて、ヨーロピアンチャレンジツアーの大会を開催している。
■トリビア
? 「サルタイヤエナジー ポール・ローリーマッチプレー」は今回で3回目の開催となり、ドイツでは初めて開催される。
? これまで大会はスコットランドのコースで開催されており、バートグリースバッハGRは3つ目の開催コースとなる。2015年の第1回大会はマーカーリンクスGCで開催され、昨年はアーチャーフィールドリンクスGCで開催された。
? 大会ホストで1999年の「全英オープン」王者でもあるポール・ローリーは64人のフィールドの一人であり、今大会には35人のヨーロピアンツアー優勝経験者が出場する。そのなかには、2018年「ライダーカップ」欧州代表副キャプテンでヨーロピアンツアー11勝を誇るロバート・カールションも含まれる。
? 「サルタイヤエナジー ポール・ローリーマッチプレー」は、「WGCデルテクノロジーズマッチプレー」、そして第1回「ゴルフシックス」に続く、2017年のヨーロピアンツアー国際スケジュールにおける3戦目にして最後のマッチプレー大会である。「ISPSハンダワールドスーパー6」にも、部分的にマッチプレー方式が採用されたが、同大会では初めに54ホールのストロークプレーを行い、その上で、予選を通過した24選手が最終日に6ホールのマッチプレーを行った。
? アーチャーフィールドで開催された昨年は、イングランドのアンソニー・ウォールが決勝でスウェーデンのアレックス・ノレンを下してヨーロピアンツアー2勝目を遂げた。ウォールにとっては初優勝を遂げた2000年の「アルフレッド・ダンヒル選手権」以来、16年振りの勝利となった。
? ゴルフコース5コースと複数のホテルを所有するバートグリースバッハGRは欧州最大のゴルフリゾートであり、2015年と2016年には「ポルシェヨーロピアンオープン」を開催している。