打つ直前の「Hold up」 キズナーとキャディの信頼
2019年 WGCデルテクノロジーズ マッチプレー
期間:03/27〜03/31 場所:オースティンCC(テキサス州)
黒星スタートから初のマッチプレー王者が誕生
「WGCデルテクノロジーズマッチプレー」は、決勝でマット・クーチャーを破ったケビン・キズナーが世界ゴルフ選手権初制覇を遂げ、昨年の悪夢をぬぐい去った。
1年前、この大会の決勝でバッバ・ワトソンに7&6で大敗したキズナーだったが、この日曜の午後の決勝は3&2で勝利し、見事に雪辱を果たした。この日、午前中に行われた準決勝でフランチェスコ・モリナリのマッチプレーにおける連勝を10で止めたキズナーは、決勝で1ホールを除く全てのホールでクーチャーに対して先行した。
3位決定戦では、現「レース・トゥ・ドバイ」王者のモリナリが準決勝での敗戦からのバウンスバックを果たし、デンマークのルーカス・ビェルレガードを4&2で下して3位で大会を後にした。
決勝ではキズナーがオープニングホールで3.3mのバーディパットを決めて先行する展開となった。クーチャーはパーとした5番でマッチをタイに戻すも、このこう着状態は長くは続かなかった。
キズナーは6番で第2打のミスにより、厳しい3打目を残すも、ここで驚異的なショットを見せ、ピンそば1.8mに寄せると、バーディパットをねじ込み、見込みの薄かったホールを奪って1アップのリードを取り返した。続く7番ではクーチャーが3.6mのパットを決め損なったことで、キズナーのリードは2アップとなった。
クーチャーは9番を獲って1ホール差に戻すも、パー3の11番ではティショットを池に入れ、再びキズナーに2アップのリードを許す展開となった。
35歳のキズナーは15番ホールも獲って3アップすると、16番では6mのパットをねじ込み、この大会で初めて予選グループステージの初戦を落としながらも優勝を遂げた選手となった。
金曜にマッチプレーのスペシャリストであるイアン・ポールターとのプレーオフを制してグループ14をトップ通過したキズナーは、その後、李昊桐、ルイ・ウーストハイゼン、そしてモリナリを破って決勝へと駒を進め、遂に大会を制覇したことに喜びを見せた。
「大きな1週間であり、長い週末だった。メンタル面だけでなく、体力面でも過酷だった」とキズナー。「たくさんプレーしたし、ストレスのかかるホールやストレスのかかるパットがたくさんあったけれど、僕は勝ち続けることができ、素晴らしい1週間を送ることができた。僕はオースティンCCを愛しているし、オースティンやテキサスが大好きなんだ。ここにいるのがとても好きなんだよ」。
「去年は2戦目(決勝)のプレーに備えるのに慌ただしくし過ぎたと感じた。(プレーの)1時間前に準備を始めるいつもルーティンを守るため、走って(クラブハウスへ)戻って、早食いして、また走って出てきたのだけど、とにかくそれが良くなかったんだ」。
「(今日は)寛いで過ごし、シャワーを浴び、ゆっくりと落ち着いて身体のケアを受け、練習レンジには午後2時5分に行って、2時25分にはティオフした」。
「僕は(1番の)ティへ行く前に、20球しか打たなかった。それがとにかくメンタル面でこの上なく良い方に作用したと思う。僕は気負い過ぎていなかったし、単に遊びのラウンドをプレーする心持ちでいるように努めたんだ」。
準決勝では勢いのあったビェルレガードを1アップで退けたクーチャーだったが、キズナーと対戦した午後の決勝ではショットに苦しんだ。
「素晴らしい1週間だった」とクーチャー。「日曜に駒を進め、決勝まで勝ち上がれたのは素晴らしかった。でも、トロフィーを持ち帰れるのは1人だけだし、決勝トーナメントで負けなしのまま帰れるのも1人だけだから。僕は負けてしまったし、負けるのはいつだって面白くないことだね」。
3位決定戦では「ライダーカップ」スターのモリナリがフロントナインで4バーディを奪い、2アップでハーフターンする展開となった。その後も主導権を握ったモリナリは、10番と12番も取って4アップとリードを広げた。ビェルレガードは13番を取って一矢報いるも、モリナリは主導権を手放すことなく、16番で4&2の勝利を決めた。
ビェルレガードは日曜に2連敗を喫しながらも、今週のパフォーマンスに対し満足感を示した。「素晴らしい1週間だった。この場に立って、悪い週だったなんて言うことはできない。64人で始まり、僕はベスト4に残ったんだ。ただ、一日で2回負けたのは痛かったね」。