雨に咲く花は美しくも大きい―――
1週間前から天気予報の「傘マーク」は変わることがないまま「スタンレーレディス」は初日を迎えた。「週末までこの雨は降り続きます。特に日曜は・・・」と会場に向かう車中でラジオのアナウンサーは何度となく繰り返している。日曜は台風が本州を直撃するらしくどのニュースもそんな話題でもちきりである。今年のスタンレーレディスはもしかすると全日「雨」かもしれない。
過去数年の女子トーナメントを思い出す限り大会期間中全て雨、という記憶はない。雨の中の試合は選手にとってもギャラリーにとっても決して歓迎されるものではないはずなのだが、見渡す限りでは会場はなぜかとても清清しい景色に包まれていた。小雨が本降りに変わるやいなや、フェアウェイを取り囲むギャラリーが一斉に傘を広げる。その瞬間、実に傘が選手たちを取り囲む花に見えたから不思議である。
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最近のゴルフウェアはいうまでもないが、傘までも華やかになりつつあるのだろうか。雨中のトーナメント取材も悪くないな、と初めて思われたものだ。
試合に目を転じると、大山志保、横峯さくら、古閑美保といった実力者たちが順調にスコアを伸ばし雨の影響すら感じさせないスコアで続々ホールアウトした。今季既に2勝を挙げ全英女子オープンに向けてますます上向き調子の大山、昨年覇者の古閑、大山に同じく全英女子オープン参戦を間近に控える横峯ら総勢6名が3アンダーとしトップグループを形成する。
その中でも注目の選手は表純子。昨年秋に体調を崩しツアーからしばらく離れ、さらに最愛の父親がその後亡くなり昨年のツアー後半は1試合の出場にとどまった。一昨年の本大会覇者がここ静岡・東名CCで再度大輪の花を咲かせる姿も期待できそうである。
ギャラリーの傘の花に囲まれて大きな花を咲かせるのはどの選手か。日曜日の雨がせめて遠慮して降ってくれることを望むばかりである。(編集部:船藤了)