47歳・貞方章男の長男&次男が「日本ジュニア」で躍動 貞方家の教えは「自分で考える」

2026年 日本ジュニア 貞方章男 貞方俊輝 貞方泉輝
貞方章男(右)と「日本ジュニア」に出場した長男・俊輝(中央)、次男・泉輝

◇男女アマチュア◇日本ジュニアゴルフ選手権 Presented by Sky 最終日(21日)◇霞ヶ関CC東コース(埼玉)/男子15~17歳(7443yd、パー71)◇久邇CC東・北コース(埼玉)/女子15~17歳(6533yd、パー72)◇千葉CC梅郷C(千葉)/男子12~14歳(7044yd、パー72)、女子12~14歳(6485yd、パー72)

ジュニアゴルフの最高峰大会で霞ヶ関CCの張り詰めた空気の中、16歳の息子のプレーをじっと見つめる男がいた。かつて米ツアーで戦い、日本ツアーの第一線でも活躍してきた貞方章男だ。

47歳の今季も国内下部ACNツアーを主戦場にプレーしているが、ここ数年は自分の練習時間を割いて子供のサポートに充てている。「来週も自分の試合があるんですが、忙しくて練習している時間が本当にないんですよね。子供たちと一緒に練習に行っても、自分は打たず、息子の練習をじっと見ています」。そう言って目を細めた。

2026年 日本ジュニア 貞方俊輝
貞方の長男・俊輝の1番ティショット

貞方には子どもが4人いる。今回の日本ジュニアには、長男・俊輝(しゅんき、大阪学院大学高1年)と、彩都の丘中3年の次男・泉輝(みずき)が出場した。俊輝は高校に入って初の大舞台。最終日5オーバーの通算7オーバー45位に終わった3日間を「もったいないところも多かったです。もっといけたと思うところが多かった。ミスを続けないことが大事」と振りかえった。中学の部で予選落ちした泉輝はこの日、兄を応援した。長女の菜綺(なつき)ちゃんはまだ小さいが、小学6年の三男・大輝(たいき)もいて、来年は長男が高校2年、次男が高校1年、三男が中学1年で、それぞれのカテゴリーで再び「日本ジュニア」出場を目指す。

子どもたちは4年前、同時に競技を始めた。長男、次男は短期間でジュニアのトップトーナメントに出場した。貞方は「長男が初めて出場したジュニア大会のスコアは100を超えて、ほぼ最下位。ルールすら分からず、ただコースでボールを転がしているだけで、話にならない状態でした」と振り返る。その俊輝は「悔しくて、ゴルフを続けようと思いました」と言い、空手少年だったアスリート魂に火がついた。

2026年 貞方章男 貞方菜綺
長女の菜綺(なつき)ちゃんとじゃれ合う貞方

父親がプロゴルファーという環境はこれ以上ない特権に思えるかもしれないが、貞方は本当に限られたことしか教えない。

「教えるのはグリップの握り方やボール位置といった、本当に基礎のいろはだけ。スイングの細かい技術については、あえて一切言いません。親が教えすぎると、子供は自分で考えることを止めてしまう。自分で考えて、試行錯誤して咀嚼(そしゃく)しない限り、本当の意味で技術は身につきません。僕のやり方が彼に合うとも限らない。教えても結局は自分で消化できなければ意味がないんです」

突き放しているようで、深い信頼に基づく教育論。それは実戦で最も重要な「自己修正能力」を養うためだ。助言をしたくなる思いをグッと我慢する父の思いを、子供も理解している。俊輝は「最近はお父さんに自分からスイングのことを聞く回数も少なくなりました。自分で考えて試す方が“自分に何が合っているか、なぜミスが出たのか”をより深く理解できるんです」と話す。

2026年 日本ジュニア 貞方俊輝
俊輝は最終日に伸ばせなかったが…

そんな俊輝はインスタグラムなどSNSからも学んでいる。PGAツアーの選手はどんなスイングをしているのか―。「体の使い方を見て、自分と何が違うのかを比較しながら取り入れています」。貞方は「僕のスイングはもうアップデートされていない“昭和のスイング“だから、今の時代には通用しないのかもしれない」と自嘲気味に笑うが、古き良きゴルフの本質と、デジタルネイティブ世代の俊輝らの感性は融合しつつある。

2026年 日本ジュニア 貞方章男
家族全員で記念撮影。家訓は「自分で考える」

貞方自身も競技人生を終えたわけではない。来季レギュラーツアー出場権獲得のために、11月17日から栃木で開催される2ndQT(予選会)に出場する。「走ってもトレーニングしても息子たちに負けることも増えました(笑)。でも、彼らが真剣にゴルフに向き合っているからこそ、自分もその背中を見せられるように挑戦し続けたい。本気で勝負をしたら、スコアではまだ絶対にこいつらには負けませんよ」。そう語る言葉が力強い。

プロゴルファーの父と4人の子どもたち。貞方家の挑戦は温かく、熱く続く。(埼玉県川越市/服部謙二郎)

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服部謙二郎(はっとりけんじろう) プロフィール

堂本光一と同じ1979年・元日生まれ。大卒後はサッカーライターを目指し渡西。マドリードで数年フラフラし、帰国後ゴルフ雑誌編集者に。2023年にゴルフダイジェスト→GDOというルイス・フィーゴばりの禁断の移籍を果たした。点を決めるよりラストパスが好き。
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