勝みなみ不発で日本8位…オーストラリアが逆転優勝
世界女子アマ、日本はなぜ自国開催で勝てなかった?
2014/09/08 14:42
世界50の国と地域が参加して、長野県軽井沢町で盛大に行われた「世界女子アマチュアチーム選手権」。過去、女子の最高成績は2004年の4位タイ。大会前、阪本知子キャプテン(日本ゴルフ協会女子ナショナル強化部会長)を中心とした日本チームは「3位表彰台で日の丸を揚げる」ことを目標とした。
初日はイーブンパーと出遅れた岡山絵里、松原由美、勝みなみの日本チームだったが、2日目にチームスコア12アンダーをマークして2打差2位に急浮上。3日目は3位に踏みとどまったものの、最終日は3オーバーと力尽き、団体戦は通算14アンダーで8位タイ、個人戦では勝が22位タイ、松原が24位タイ、岡山が38位タイに終わった。
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最終日終了後、日本チームからは反省の言葉が漏れた。「自信があればフェアウェイに行くし、ピンにも絡む。メンタル的なことだと思う」と勝。「(このコースで)合宿した時はみんなスコアが出ていたけど、最終日は自分の実力を出せずに終わってしまった」と松原。最終日に唯一オーバーパーを打たなかった岡山は、「技術的には明確な差は見えなかった。気持ちとかなのかなと思うけど、見つけるのに時間が掛かると思う」と悔しさをかみ締めながら振り返った。
これだけ聞けば、課題は明らかだろう。自国開催や優勝争いのプレッシャーは、“3位入賞”という目標を掲げれば当然想定できるもの。だが、その状況で日本は本来の力を発揮することが出来なかった。
優勝したオーストラリアや2位になったカナダのナショナルチームは、全体のバランスを取るヘッドコーチを中心に、フィジカル、メンタル、テクニカルのそれぞれの専門家がチームを組み、選手たちをあらゆる角度から指導していた。「気持ちの問題」というのは、決して“技術では負けていなかった”というポジティブな言い訳ではなく、 “メンタルが弱かった”という厳然たる敗因でしかない。日本のナショナルチームには、まだメンタルコーチが存在しないのだ。
さらに付け加えれば、国際経験の差が挙げられる。今はグローバルな情報化社会。世界中でどんな試合が行われているかは、誰でも簡単に知ることができる。
実際、世界的に見れば、現在の女子アマチュアゴルフ界では、ひとつの潮流が出来上がっている。ナショナルチームに入って多くの国際試合で経験を積み、全米ジュニア、全米女子アマ、世界女子アマなどの大きな試合に出場する。好成績を収めれば、アメリカの大学ゴルフ部から奨学生としての勧誘が来るのは、服部道子(1985年全米女子アマで最年少優勝→テキサス大学オースティン校に入学)の時代から変わらない。
現在は、その時にプロ転向する準備が出来ていると判断すれば、ミンジー・リーのようにプロを選び、まだだと思えば大学で経験を積み重ねる。国際標準となっているアメリカの難コースを主戦場とし、英語に慣れ、同年代のライバルとしのぎを削ることで、プロになったときも違和感なく戦いを続けていける。
阪本キャプテンは敗戦の弁をこう語った。「母国開催で環境的には問題なく、リラックスして臨めたし、第2ラウンドで頑張ってくれたことは評価できる。でも、私の反省は最終日にオーバーパーになったこと。これは、私たち強化サイドの考え方、選手にもっと経験を積ませることとか、ほかの方法を模索していくべきだなと強く感じました。ワールドワイド、インターナショナルの経験が必要だと感じました」。
世界での競争は、国境を越えて激しくなっていく一方だ。島国である日本は、その地理的条件を自覚して、他国よりもより一層強く世界を意識して準備しないと、流れに取り残されるばかりだろう。6年後、2020年には自国開催の東京五輪が控えている。(長野県軽井沢町/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka