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女性正会員容認の霞ヶ関CC 「自主的判断」までの3カ月

「自主的に改定の判断をした」-。伝統あるクラブが記した一文には、苦渋と矜持の双方がにじみ出ていた。

2020年東京五輪のゴルフ会場の霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)は20日、臨時の理事会を開き、内部規則を変更して、それまで認めていなかった女性の正会員を容認した。男女平等をうたう五輪憲章に反するとして、国内外から注目を集めた問題はひとまず、決着する形となった。

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同CCは「五輪とは関係なく、時代の流れに沿った」と説明。さらに、「当倶楽部は創立以来、会員はみな対等、家族で楽しむ倶楽部を理念に、男女差別のない運営をして参りました」との認識を強調した。その上で、取材に応じた今泉博総支配人は「『差別』のゴルフ場と認識される恐れが強かった」と、この機会で規則変更に至った理由を明かした。

1929年に開場した国内屈指のプライベートコースの会員数は約1800人。うち、男性に限られる正会員は約1270人いる。女性制限がない週日および家族会員には、女性会員が約210人いる。「正会員」と「週日・家族会員」の違いは、日曜日にプレーできるかどうか。ただ、さまざまな特例があり「年間で日曜の半分程度は女性もラウンドできる」実情もあった。実際、ある女性会員は「そもそも差別を受けていると思っていなかった」と話した。

東京五輪開催決定後の2014年12月、国際オリンピック委員会(IOC)は「オリンピック・アジェンダ2020」を決議し、差別の禁止の徹底を打ち出した。IOCは16年12月、日本ゴルフ協会(JGA)に同CCの規則について問い合わせ、今年1月に正式に規則の見直しを打診した。

この流れの中で、1月中旬に東京都の小池百合子知事が「21世紀に女性が普通にプレーできないのは、非常に違和感がある」と指摘。同月末には安倍晋三首相も「そこで五輪を開くのはどうかという意見があるのは当然」と認識を示した。

3月2日、IOCのジョン・コーツ副会長が「クラブ内部で無差別会員制にしようとの議論が進んでいると聞いた。正しい方向に進んでいる」と話して、外堀が埋められた。

女性正会員を容認する議論を本格化させた3月7日の定例理事会は、前回(2月7日)の理事会が開かれた東京・銀座で待ち受けた多くの報道陣の目をかすめるかのように、東京・一ツ橋で行われた。この1カ月で会員への説明、意見聴取、理事たちの話し合いの機会を増やしていた。

同CCの関係者は「これ以上先延ばしにすると『風評被害』も大きくなると判断した」と本音を語る。1月中旬当初、女性正会員問題が取りざたされたことに霞ヶ関CCは、「びっくりしている。現状は規則の変更は考えていない」としていた。

しかし、世間の声が大きくなるにつれて「五輪開催に関係なく『女性正会員を認めるのは時代の流れ』と感じた。今回、われわれの常識と世間の常識の違いも分かった。倶楽部にとって一つの転機となった」と、会員の思いも変わった。春分の日の決断は、世間の声に応えたスピード決着だったと言えるだろう。(編集部・林洋平)

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