トルコのゴルフ ツアーへの関心と環境のギャップ
2018年 ホンマ香港オープン
期間:11/22〜11/25 場所:香港GC(香港)
香港で続く“終わりなきリレー” 日本人倶楽部ゴルフ同好会の60年
2018/11/27 18:07
◇欧州男子、アジアンツアー◇ホンマ香港オープン presented by Amundi 最終日(25日)◇香港GC(香港)◇6700yd(パー70)
100年以上の歴史を誇る香港GCのクラブハウスで、香港日本人倶楽部・ゴルフ同好会の北村功さん(78歳)はもどかしそうに戦況をみつめていた。「昔は金井清一(1986年)や勝俣功(1970年)、杉原輝雄(1969年)といった日本人プロが勝っていたんです。それがいまや、こんなペースで…。応援していても、寂しく感じる現状です」。日本人選手の優勝はここ30年以上なく、今年は3人出場して予選通過をしたのは宮里優作ただ一人。その宮里も、最終日は62位に沈んでいた。
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本間ゴルフを新スポンサーに迎えた今年の「ホンマ香港オープン」は、“過去と未来に挟まれた現在”を象徴しているかのようだった。大会ロゴは一新され、初年度の浮かれた新鮮さが会場を包む一方で、1959年に第1回大会が開催されてから今年がちょうど60回目。本間ゴルフも創業60周年で、香港ゴルフ協会も50周年と記念イヤーが重なっていた。
北村さんが所属する香港日本人倶楽部・ゴルフ同好会は1957年に設立された、香港で2番目に古いゴルフソサエティ(最古は1954年設立のダッファーズ)だ。「香港オープン」や香港ゴルフ協会以上の歴史を誇り、現在に至るまで毎月欠かさず月例会を開いていて、今年11月でなんと第738回を記録した。
「心に残るのは金井清一プロですね。飛ばないけど、小技の名手でマナーがいい。一番マナーが悪かったのは青木功です。1番ティに上がるなり、『きのう酔っぱらっちゃってなぁ』って、こんなですから。いろんな人が歩んできた大会。その中で、ともに歴史を持っているのが、日本人倶楽部の同好会なんです」と北村さん。だが、最盛期には120人を超え、入会待ちさえいたという会員も、いまは55人にまで減っている。
同好会の存続を危惧している一人に、香港ゴルフ協会の西剛弘(にし・よしひろ)会長がいる。「こういうのは誰かがおせっかいを焼かないと。僕がこの場にいました、でも関わらなくてつぶしちゃいましたっていうのはね…。やっぱり『継続は力なり』で、日本人がリスペクトされているのは、そういうことを継続的にきちっとやってきたからなんですよ」。来年9月に2年目の会長任期が終われば、同好会に本腰を入れることも考えているという。
なぜ、同好会にこだわるのか?「50年、60年って歴史を積み上げるのは容易じゃない。やることは大事で、良い時期、悪い時期はあるんだけど、やったなりのことが残る。高い会員権を買ってプレーしたり、こういう会に入ったり、いろんなゴルフのやり方がある。でも、ゴルフ新興国の中国の文化と、日本や香港の文化は違う。それはお金では買えないし、守った方がいいと思うんです」。プライベートな香港GCだが、60年以上たったいまでも同好会のためのプレー枠を特別に確保していて、メンバーでなくても月例会に参加できるように便宜を図ってくれる。香港のゴルフ界とともに歩んできた歴史が大きな財産だ。
「本物かどうかって、やっぱり続けられるかどうか。続けられるっていうのは本当の強さだと思う。(2019年に日本でPGAツアーを開催する)ZOZOも20年、30年と続いたらすごいと思う。ぜひ、やってもらいたい。それはバトンタッチで走るリレーみたいなもんですよ。終わりなきリレー。ずっと走り続けるし、その先になにがあるかもわからない。でも、好きだったらその責任を負いましょう、みんなでシェアしましょうよっていう感じかな」と、西会長の表情はすでに心を決めたように清々しい。香港に深く根付いている日本人のゴルフ文化。失ってからその価値に気付いても、遅いのだ。(中国・香港/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka