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フェニックスの“わくわくゲート” 入場口リニューアルへの着想と思い

◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 最終日(20日)◇フェニックスCC(宮崎)◇7042yd(パー71)

装いの変わった入場ゲートの先には、48年の間、紡がれてきた瞬間が詰まっていた。クリスタル製の優勝トロフィ、歴代王者の名前が刻まれたボード。彼らがフェニックスCCに寄贈してきたクラブやボールはショーケースに整然と収まり、来場者はタイガー・ウッズ松山英樹らチャンピオンの銅製の手形レリーフと自らの手を合わせることもできた。

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暗がりの部屋に足を進め、目に映るのは過去のハイライトを織り交ぜた大会のプロモーション映像。来場者はこの入り組んだ20mほどの通路を歩き、1974年から続く歴史の芳香を吸い込んでコースに出ていった。

大会が今年、改造したギャラリー用の入場口はクラブハウスの南側に位置する。チケット売り場の向こう、前年までは他大会と同じような簡素なテントだったものをリニューアル。トーナメントの歩みを語る展示物に彩られたシアター風の空間を“わくわくゲート”と名付けた。

10年間にわたって試合開催に携わってきたダンロップスポーツエンタープライズの迫間敬介氏が発案した。「ギャラリーが会場に来て、最初に足を踏み入れるのはギャラリーゲートです。でも、どのトーナメントも一緒で。机の前でスタッフがペアリングシート(組み合わせ表)を配って…」という思いをずっと抱えてきた。

既存の入場口にメスを入れた着想は、足を運んだエグゼクティブブランドの展示イベントから得た。シャネルにオメガ、オーディマピゲ…。会場を訪れた人々に商品を見せる前の通路に大型スクリーンや特別な装飾品を並べ、ブランドイメージや世界観を表していた。「フェニックスでもできるんじゃないか」。一流選手たちが宮崎でしのぎを削ってきた証しが、きらびやかな宝石の代わりになってくれる。ブティックでスマホに残した映像を頼りに企画を立ち上げた。

緑と白が基調カラーの大会において、黒い天幕を発注したのは初めてだった。本来の通路としての導線、スペースを確保しながら「迷路のように」あえて曲がり角を多くすることで、他大会との差別化を図り、ひいては来場者の気分を高揚させたかった。

「コストは結構かかっています」と苦笑いする。たとえ同じスタッフの顔を引きつらせても実現したかったこと。「選手のパフォーマンスに対して、僕たちは何もできません。それでも、いっそう選手が輝いて見えるように演出したい。せめてギャラリーの方の気持ちを高ぶらせてもらいたいなと。お客様が選手を見るのに、わくわくした気持ちをあらかじめ持っていらっしゃるか、いらっしゃらないかでは(見え方が)違うと思うのです」

細部へのこだわりと、プレーヤーへのリスペクト、そしてフェニックスへの愛情が詰まった企画は来場者から好評だったという。トーナメントプロデューサーを務める浅井政彦氏は中嶋常幸が優勝した1985年にギャラリー整備のスタッフとして初めて大会に関わり、歴史を陰で支えてきた。

「今回は3年ぶりに海外から招待選手を呼び、ワールドランク50位以内の選手たちは、やはり力があるということを改めて実感しました。“本物”に人は集まるもの。今年見に来てくださった方がわくわくして実際のプレーを見て、もっと気持ちが高まって『また見に行こう』と思ってくだされば、来年につなげるという点においても非常に良かったと思います」

次回に向け、わくわくゲートのバージョンアップ構想はすでに練られている。これまでのトーナメントを振り返る“ヒストリーロード”、あるいはゴルフギアの変遷を伝える仕掛けといったところが有力候補。

1年後、ダンロップフェニックスは節目の50回大会を迎える。(宮崎市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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