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砲台グリーンの悲しいワナ

国内男子メジャーの今季第3戦「日本オープン」は予選2日間を終え、通算5アンダーで単独首位に立ったトップのネベン・ベーシック(オーストラリア)からアンダーパーが10人。日本一の称号を争う同大会らしいスコアが決勝ラウンドを迎えることになった。

選手たちを悩ませるのが、やはり狭く絞られたフェアウェイだ。ドライバーでとらえるには針の穴を通すようなコントロールが必要。会心のショットであっても、不運にも転がって入ったラフからピンを狙うことは至難の業だ。また、すべて砲台となっているグリーンが待ち構える4つのパー3を攻略への重要ポイントに挙げる選手もいる。グリーンを外せば深いバンカーか斜面を転がり落ちるのがオチ。難解な打ち上げのアプローチを残すことになる。

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その砲台グリーンだが、プレー面以外での懸念がある。石川遼は今大会開幕前「たくさん見に来てくれる人がいるのは嬉しいですが、ロープの外からカップが見えるグリーンが何ホールあるのか、というのは気になります」と私見を述べた。ギャラリーから見れば、砲台グリーンの上は目線より上。カップが見えなければボールが入るのか、入らないのかは分からない。ゴルフ観戦の醍醐味が半減するといっても過言ではないだろう。

その懸念は選手のプレーへの影響も少なからずある。「ギャラリーの方に『プレー中に動かないでください!』と言っても、ボールが見えないのであれば、そこに“根拠”が無いような気がする」と石川。お目当ての選手を観戦するために、興味のない選手のプレーを結果的に邪魔してしまうようなギャラリーの動きは残念な限りだが、何も見えないのに「止まっていろ」というのは説得力が無いというのも、確かにうなずける。

5月の「ダイヤモンドカップ」では、同じように砲台グリーンが多い千葉カントリークラブ梅郷コースで、“砲台用”の立ち見スタンドが設置された例もある。石川は勇気を持って、今後の善処を期待したのだろう。

今大会の観衆は初日6877人、2日目6988人と、両日ともに昨年大会よりも2500人以上増えている。土曜、日曜はあいにくの雨予報。足並みも多少にぶくなるかもしれないが、大ギャラリーが今度は傘の花を咲かせるだろう。年に一度の日本一決定戦。場内のフラストレーションが溜まる決勝ラウンドにならないことを祈りたい。(千葉県千葉市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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