「ダイヤモンドカップゴルフ」フォトギャラリー
2013年 ダイヤモンドカップゴルフ
期間:05/30〜06/02 場所:大洗ゴルフ倶楽部(茨城)
名門・大洗GCと震災風評被害
「ダイヤモンドカップ」開幕直前、ジャンボ尾崎が言った。「日本で有数のコースだからね。ちょっとしたミスをなかなか許してくれないところがある。よっぽどしっかりしたゴルフをして、それを続けなくてはいけない」。茨城県は太平洋、鹿島灘に面する大洗ゴルフ倶楽部は今年、10度目の同大会開催となるだけでなく、日本タイトルを争うトーナメントも数多く行われてきた国内屈指のコースであることは、多くのゴルファーに知られている。
しかし2年前の3月11日、東日本大震災の“影響”を受けたのは、同コースも例外でなかった。大洗町の市街にも津波は押し寄せ、ライフラインは一時的に停止。ところが、倶楽部や地域にとって本当に深刻だったのが、その後の風評被害だった。
<< 下に続く >>
同町の産業は漁業、農業、そして海水浴が盛んな大洗海岸に代表される観光産業がメイン。それぞれが原発事故に端を発した打撃を受けた。そしてこのゴルフ倶楽部も被災直後から「海側のホールが津波にやられてしまった」という、まことしやかな噂が。しかし、これは根も葉もないデマと言えたのだ。
大洗GCはシーサイドコースとはいえ、海抜平均19~20メートルの高台にある。そのため、プレーを妨げるような深刻な被害はなかった。電気、水道の復旧を2週間待ち、同月30日には通常営業を再開。染谷寛支配人は言う。「コース自体は何ともなかったんです。クラブハウスのダクトが一つ壊れ、壁が少し剥がれ落ちて、あとは給水タンクにヒビが入った程度でした。ここはね、20メートル掘ると岩盤に当たる。もともとは水の確保が難しいゴルフ場なんです」
同倶楽部はその後、被災者の避難所としても活躍した。敷地は3分の1が茨城県、残りは大洗町の土地であり、かねてから災害時の避難場所に指定されていた。会員制のプライベートクラブとはいえ「ここは公共用地、100%が借地のゴルフ場。だから地域密着、共存共栄でやってきました」と支配人。ロッジを開放し、数世帯の家族を受け入れた。
大洗町はその後、関東近県で積極的にキャンペーンを行い、復興への道を探った。大洗海岸は昨夏、一昨年に比べ6割程度の来場者が戻ってきた。そして倶楽部も2011年度は1953年の開場以来、県内からの来場者数が最低の数字だった。しかし以降、メンバーの紹介、協力を仰いで月に4度、年間48回のオープンコンペを低料金で実施。回復傾向を示しているという。
今年、トーナメントが掲げる謳い文句は「復活、大洗。」。60周年を迎えた記念すべき年に、元気な姿を目いっぱいアピールする。(茨城県大洗町/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw
- 国内男子ツアー「ダイヤモンドカップゴルフ2013」練習場LIVE
-
国内男子ツアー「ダイヤモンドカップゴルフ2013」会場の大洗ゴルフ倶楽部練習場から生中継!松山英樹、藤田寛之など注目選手の練習風景を石井忍プロの解説付きでお届けします。
【ライブ中継予定】
5月31日(金)6:30~9:00、10:30~16:00
6月1日(土)8:00~11:00、14:00~16:00