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谷原秀人の復活とアヤカ夫人の内助の功

表彰式の最中、18番グリーンの脇では2歳の男の子が元気いっぱいにボールを追いかけまわしていた。パパからもらったウィニングボール。谷原家の長男、悠人くんは大ギャラリーと、そしてすっかり雪化粧した富士山に見守られながら、初めて味わう瞬間を目いっぱい楽しんでいた。

静岡県の太平洋クラブ御殿場コースで開催された「三井住友VISA太平洋マスターズ」。谷原秀人が、2010年以来となる3シーズンぶりの勝利を飾った。3年前に発症した肩痛に悩まされ、一時は特別保障制度(公傷制度)を利用しての長期離脱も考えたが、じっくりと回復と復調の時を待ち、節目の通算10勝目を飾った。

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「本人が一番苦しんだと思います。努力が報われて良かった」。グリーンサイドで、笑顔で話したのは2008年に結婚した絢香夫人。愛息が11年に生まれてからは、初めての優勝だった。優勝カップとともに家族との記念撮影におさまった谷原本人は「嫁に『それまでお前はガンバレ』と言われていた」とホッと一安心。「めちゃめちゃ子煩悩で。ほっとくと、2人で水族館とか行っちゃう」(夫人談)という良きパパにとっても待ちに待った至福の時間だった。

復活優勝の陰には、もちろんこの家族、夫人の内助の功があった。絢香さんは、出産前にアスリート・フードマイスターの資格を取得。遠征続きのプロゴルファーだが、家庭での食卓には栄養管理されたメニューを並べる。テーマはバランスに優れた「まごわやさしい(孫は易しい)」。

【ま】豆類、【ご】ごま(種実類)、【わ】わかめ(海藻類)、【や】野菜、【さ】魚(タンパク質)、【し】しいたけ(きのこ類)、【い】イモ類

一食の中に、以上の食材をすべて組み込んだ食事を作り、戦う夫を支えている。材料費は確かにかさむらしい。それでも結婚した当初、谷原は「食費は削るな」と、取り決めをお願いしたという。「良い食べ物は、体への投資。アスリートは良い服を着るよりも、食事の方が大事」という思いが、力強い体を作っている。

ところで、谷原夫妻にはルールがもうひとつあるそう。10月30日の夫人の誕生日、そして前日11月16日は本人の誕生日だったが、「リズムを崩したくない」と日々の試合に集中するため、原則、大会出場の週にはお祝いをしないという。夫は次週、豪州で「ISPSハンダワールドカップ」を戦い、帰国後も終盤の連戦に出なければならない。祝勝会を兼ねたバースデーパーティは、もう少し先になる。(静岡県御殿場市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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2013年 三井住友VISA太平洋マスターズ

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