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未勝利の後輩・優作と最終組…谷原秀人の心境

宮里優作山下和宏が待望のキャリア初勝利のチャンスを手にした今季最終戦「日本シリーズJTカップ」。彼らとともに最終日最終組を戦うことになったのは、先月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で3年ぶり、ツアー通算10勝目を飾った谷原秀人だ。

硬直したグリーンに苦心しながら、ムービングデーに宮里と同じく「64」(パー70)をマークした谷原。通算11アンダーでトップに3打差の2位タイと好位置につけたが、ホールアウト後は前日までと同様、ショットへの不安を漏らし続けた。

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「ショットがね…。(2週前の)ワールドカップから帰ってから良くないな。“疲れ”ってことにしといて下さい」。それでもショートゲームの安定感は健在で、17番(パー5)ではグリーン奥ラフからのアプローチを、ためらうことなくフワリと上げてピンそば1メートルに寄せてバーディ。「(状態が悪く)人より気合が入っていないのがいいんじゃ?」と淡々とプレーする姿には、実績に裏打ちされた強さが漂った。

星野英正に始まり、岩田寛池田勇太藤本佳則松山英樹…。目下、ツアーで一大勢力となった東北福祉大出身選手たち。その良き兄貴分である谷原にとって、宮里は2歳下の後輩だ。「優作はね、昔から1つずつ、コツコツとやるタイプ。ブレずに、自分のやりたいようにやっていた」と評す。アマチュア時代からの実績は折り紙つきながら、未勝利が続くキャリアに目をやり「これってものが今まで無かったのでは。“ウイニングショット”だったり、“勝ち切る”的なものがね」と、最後のひと押しの物足りなさを説く。

だからと言って、宮里にタイトルを早く手にして欲しい気持ちはあるかと問われれば、今大会に限らずも「無いですね」と手厳しい。「それとこれとは話が別物。簡単に勝たせたら、盛り上がらないし…」と、谷原も同じように自分のことで必死だ。先輩の胸の内は「だからまあ、難しいところ」というものに尽きる。

とはいえ、「でも、それも見てみたいな。優作がどういう心境でやるのか」と、谷原が普段の優勝争いとは別の興味を抱いているのも事実。対する宮里は「大学の時からずっとお世話になってきた。ここで戦うのは感慨深いものもあります。でも試合となったら関係ない。気は遣わない!」と力強く言った。2人が抱える互いへの思いは、勝負を左右する要素となるだろうか。(東京都稲城市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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