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勝利から遠ざけた、重圧という名の敵

古閑美保全美貞との一騎打ちとなった「樋口久子IDC大塚家具レディス」最終日、18番で歓喜のガッツポーズを見せたのは、2打差を逆転した全美貞だった。4月下旬の「屋島クイーンズ」から国内女子ツアーでは前人未踏の3週連続優勝、“早くも賞金女王は当確か!?”と感じさせるほどの強さを誇っていた。

しかし、この後の1勝が遠かった。優勝争いには定期的に加わり、着実に賞金を積み重ねてはいたが、あと一歩のところで届かない。「日本女子プロゴルフ選手権」に至っては予選落ち、8月には上田桃子に賞金ランクトップの座を明け渡してしまう。この日の優勝会見で、その苦しかった胸中を明かした。

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「技術的なことよりも、精神的な面で悪かったのだと思います。自分の中では(賞金女王のことを)考えたことはありませんでしたが、まわりから言われて意識するようになってしまいました。自分で自分にプレッシャーをかけてしまったんです」

確かに3週連続優勝以降、報道関係者からは早々と賞金女王についての質問が出るようになった。そのつど、「先のことは分かりませんから…」と答えを濁らせていた記憶がある。トーナメント会場で耳にする“賞金女王”という言葉が、重圧という名の澱となって心の奥底に溜まっていっていたとは…。

今大会の勝利により、2年連続で獲得賞金1億円を突破。「素晴らしいこと」と喜びを露わにしたが、獲得賞金額で上田、横峯さくらに肉薄し、賞金女王の話題が再燃することは間違いない。「夏場は意識してしまいましたが、一回経験しているので、もう意識しないようにしたいですね」と真剣な表情で話す姿は、手の付けようがないほど強かった春先の姿を彷彿とさせた。3つ巴となった賞金女王争い、今後の展開が非常に楽しみだ。(編集部:塚田達也)

塚田達也(つかだたつや) プロフィール

1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。



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