諸見里しのぶ、遂に掴んだ初優勝
2006/10/08 18:00
決して格好の良い勝利ではなかったけれど、泥臭い、涙にまみれた、彼女らしい初優勝シーンに思えた。諸見里しのぶ、20歳。ツアー13試合目にして掴んだ念願の初優勝。
単独首位で迎えた最終日。諸見里は2位の大山に3打差をつけてスタートした。前半を35で回って通算7アンダー、バックナインに入る時には大山との差を5打に広げていた。しかし、12番から3連続ボギー。「自分で何をやっているのか分からなかったです」。さらに16番でもボギーを叩くと、17番では3オン3パットのダブルボギー。「返しのパットも外してしまって、心臓のドキドキが止まらなかったです」。無理に作った笑顔の奥には、プレッシャーに押し潰されそうな自分がいた。
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「キャディさんに『大丈夫だから』と言ってもらって、なんとか落ち着きました」という諸見里。後半だけで6つスコアを落としたが、それでもまだ首位にいた。追い上げて来る者もいなければ、目の前のライバルももたついている。敵は、自分の中にしかいなかった。
「神様が試練を与えてくれているんだね」。キャディとそんな話をしながらラウンドしたという諸見里。たった30cmのウィニングパットも「すごく長く感じて苦しかった」と振り返った。
「1勝しなくては、というプレッシャーが凄くありました。これまで何回もいいところにいて、応援にも来てくれたのに勝てなくて、苦しかった。この優勝は本当に良かったです」。話しながら涙がこぼれた。その涙は、嬉しさや情けなさ、悔しさや安心感……沢山の想いをのせて、初秋のグリーンに吸い込まれた。
「これからはもっと上を目指して楽しくゴルフが出来ると思うし、もっとかっこいいプロゴルファーになりたいです!」そこには新しい諸見里がいた。(編集部)