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大和笑莉奈、憧れの有村先輩と直接対決

「“ちえ先輩”は怖いオーラがありました。今でも近寄りがたい面もあります」。いまや国内女子ツアーを牽引する存在となった有村智恵を、尊敬のまなざしでそう表現するのは、22歳の大和笑莉奈。2人はともに東北高校ゴルフ部のOG。学年は2つ違うものの、寮生活をともにしたどころか、1年間同部屋だった間柄だ。

静岡県の東名CCで開催中の「スタンレーレディスゴルフトーナメント」は連日の濃霧による影響で36ホール競技に短縮。大会2日目の14日(土)でようやく第1ラウンドが完了した。最終ラウンドを前にして、6アンダーで単独首位に立つのは森田理香子。それを1打差の2位タイから追うのが、この先輩と後輩の2人だ。

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2009年に2度目の挑戦でプロテストに合格した大和だが、その後はなかなか芽が出ず、ここ2シーズン低迷が続いている。昨年は25試合に出場、今季は今大会が17試合目にも関わらず、この1年半で予選通過を果たしのは、今回がわずかに7回目だ。

右手首に痛みを抱えており、それもひとつの要因だった。しかしそれ以上に「気持ちが緩んだり、どこか別のところに気持ちがあったり、そんなラウンドばかり続いていた」というハートの方が問題だった。今季に入りツアー初優勝を後輩の大江香織に先を越され、同窓の木戸愛は着実にステップを踏んでいる。「何で、私にはできないんだ」。悔しさがふつふつと沸き、ようやく目の色を変えたのが2週間ほど前のことだった。

その意識改革は途端に実を結んだ。今大会では初日に9ホールしか回れなかったものの、3アンダーで暫定首位。悪天候によりスコアがキャンセルされる可能性もあったが、それは免れて胸をなでおろした。今日2日目。その第1ラウンドの続きでは、3番で3パットボギーとしてしまうが、カラーから12メートルを沈めた6番から見事な3連続バーディ。冒頭の言葉に加え「憧れの人。すごい、好きです。集中力というか、自分の世界を持っている。見習いたい」という有村への“挑戦権”を手にしてみせた。

さて、その有村先輩。今大会の直前には、原江里菜らと後輩を交え、東北高出身選手で食事会を開いた。大和も、もちろんかわいい後輩の一人であり「前回、アース・モンダミンカップでは木戸愛と回って、うれしかったでんですけど、こっちも緊張するくらい(木戸)が緊張していた。同じ組になったら、楽しみながら優勝争いできたらと思います」と話した。その願いは叶い、最終日最終組という最高の舞台で競演することができる。

それでも有村、最後には「優勝にはこだわってプレーしたい。何勝していても、初優勝でも、価値は同じ」とキッパリ。コースでは、やっぱりコワ~い先輩になるのだ。(静岡県裾野市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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