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女子レスリングの元“金メダル候補”が下部から目指す「あの場所」

◇グアム知事杯女子ゴルフトーナメント◇レオパレスリゾートカントリークラブ ハイビスカス&オーキッド(グアム)◇6563yd(パー72)

間違いなく五輪で金メダルを獲れる逸材-。レスリング大国の日本でそういわれながら、ゴルファーになる道を選んだ選手がいる。岡村優、19歳。若手の登竜門でもある今大会を73位で終えると「全然ダメ、まったく上手くいかなかった」。

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2日間36ホールでバーディは1つだけの通算18オーバー。「風が強くて、ショットも思ったようにならなかった」と、ガッチリ体格の167センチは肩を落とした。

「同世代も出ていて(私も)続けていたら、あの場所にいたのかなとは思った」。昨夏のリオでの祭典を見て、岡村はこう思ったという。

5歳でレスリングに出会うと、すぐに才能が開花した。小学2年生から全国大会4連覇を達成。レスリング最強国の日本で同世代に敵なし。小学校高学年時には、トップアスリートのための施設で知られる日本オリンピック委員会(JOC)の味の素ナショナルトレーニングセンターの使用を認められた。五輪3連覇の吉田沙保里選手の栄和人コーチから家族に「僕にあずけてください」とも言われた。

レスリングと並行して、8歳から始めたゴルフに専念すると決めたのは中学校に入る直前の12歳だ。理由はライバルの存在だった。競技人口が多くないレスリングでは、なかなか新しいライバルは誕生しなかった。全国大会でも、毎回同じ選手と対戦することが多く、圧倒的な強さを誇った岡村には刺激が足りなかった。

日本レスリング協会からは再考を求められたが、決意は固く「それなら、ゴルフで世界一になって!」と、最後はエールを送られたという。「ゴルフはなかなか上手くならなった。自然を相手にするスポーツの難しさだと思う。当時はどっちが楽しいかで判断しました。幼心ですが、難しいから楽しかったんだと思う」

岡村は中国で“スーパーアマチュア”として名を馳せたことがある。岡村の国籍は日本だが、母の琴さんが中国生まれ。通訳やコーディネーターなどの仕事をする母のつてで13歳の時に中国ツアーに初出場した。

「怖いもの知らずだった」と、最終日を首位で迎えた少女にメディアは殺到した。日本ツアー1勝のポラニ・チュティチャイ(タイ)に優勝をさらわれて2位となったが、これで広く知られるようになり、これまで中国ツアーに15試合ほど推薦で出場している。今でも注目度は高く、日本ツアーの試合に出場した際は、中国メディアの「新浪ゴルフ」に岡村の成績や写真が掲載される。

ただ、12歳で進むことを決めたゴルフの道の険しさを感じている。岡村のゴルファー人生はレスリング選手のときとは全く異なる。茨城県の翔洋学園高在学中に、1学年後輩でルネサンス高に転校前の畑岡奈紗らと関東大会の団体戦で優勝するなどの戦績はあるが、ほぼ無名。初めて挑んだ昨年のプロテストは失敗。今年は下部のステップアップツアーを主戦場とする。

今でも親交のあるレスリング協会から「いつ活躍するの?」と冗談を言われることもある。プロゴルファーの道を選んだときから掲げる目標は日本ツアーで活躍すること。「日本でゴルフの結果で注目されたい」。まだまだ現実的ではないが、漠然と描く夢もある。「ゴルフで五輪に出てみたい」。(グアム島ジョーナ/林洋平)

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