「球がティから落ちて見えた…」序盤失速の真実/笹生優花独占インタビュー(上)
2021年 全米女子オープン
期間:06/03〜06/06 場所:オリンピッククラブ(レイクコース)(カリフォルニア州)
松山の偉業から2カ月経っていない GDO「中の人」うれしさゆえのボヤキ
松山英樹の「マスターズ」制覇からは2カ月も経っていない。山縣亮太の9秒95記録達成に至っては24時間も経過していなかったし、何なら緊急事態宣言も終わっていない。
笹生優花の「全米女子オープン」制覇はそんな中、デスクの前に座る僕に飛び込んできた。GDOニュースの公式Twitterで、LINE社の塩畑大輔@daisukeshiohataさんに反応して、思わず「今年ゴルフ…怖い。。」とつぶやいてしまったくらいだ。
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机に陣取っているから呼び名はデスク。一般的にはなじみがないかもしれないけれど、血の気の多い現場の記者が書いた「下手くそ」(たまに上手な場合もある)な原稿を手直しして、世に送り出すのが仕事だ。多くのメディアではかつて若手だった「いっちょ上がり」の人たちが務めていて、46歳の僕も例外ではない。
マスターズの松山は4打のアドバンテージ、全米女子の笹生は1打のビハインドで最終日を迎えた。読者はいち早く試合の結果を知りたい(と僕たちは考えている)ので、1秒でも早く伝えられるように「予定稿」を準備する。
見出しだと「松山が日本人初の快挙」とか「松山はまたもメジャー制覇ならず」とかだ。ただ、マスターズで僕は「負け」の予定稿を書けなかった。手が動かなかった。15番(パー5)で2打目が池に入ったときも…。デスクとしては失格。多分、想像したくなかったんだろう。が、結果オーライなので、自分的には「良し」とする(そうなん?)。
オリンピッククラブでの最終日、笹生は2番、3番で連続ダブルボギーをたたいた。連続ボギーではなく、連続ダブルボギーだ。もうないな、正直そう思った。午前2時前に起床した眠さもあり、ある意味、気楽に戦況を眺めていた。現地で取材する今岡涼太記者(@rimaoka)からの原稿をともに受ける予定の、清野邦彦デスク、亀山泰宏記者をたたき起こす必要もない…そう思っていた。
状況が変わったのは、サンデーバックナインの終盤も終盤だ。Teamsに、日本時間7日午前6時7分からの今岡記者とのやり取りが残る。
今岡 ここからだね。まだチャンスあるわ。
僕 おはようございます ですね。畑岡いいですね
今岡 畑岡の方がチャンスあるね。
それでも、この程度の緊張感だ。
亀山記者から最初に連絡が来たのは午前6時21分。「米女子速報を準備する感じでいいでしょうか」。そう、この時点でもこの程度だった。
レキシー・トンプソンの自滅で、世界最高峰の戦いは日本勢同士のプレーオフに移った。どっちが勝っても、スポーツ紙の一面トップは確実だ。亀山記者が書いた「笹生勝ち」「畑岡勝ち」の予定稿をそれぞれ手元に置いた。
その後はあまり覚えていない。笹生の偉業について何か伝えられていないとすれば、僕の責任。何が言いたいかって?現場で取材する世界中の記者たちへ「デスクなんかくそくらえ」(編集部・片川望)
片川望(かたかわはるか) プロフィール
1975年生まれ、性別「男」。通信社の記者を経て、2014年GDOニュース編集部。トーナメント会場にはたまに現れるレアキャラだが、見かけてもご利益はない(はず)。「どちらかと言えばエディター」を自称しており、普段は東京・五反田界隈に生息している。ツイッター: @hrkktkw