「米国で勝てないと意味がない」 渋野は無念の陥落も“準シード”から再挑戦へ
2023年 アニカ driven by ゲインブリッジ at ペリカン
期間:11/09〜11/12 場所:ペリカンGC(フロリダ州)
“ドローが出ない”スイングと親指痛 渋野日向子は「ボロボロな1年」を糧に
◇米国女子◇アニカ driven by ゲインブリッジ at ペリカン 最終日(12日)◇ペリカンGC (フロリダ州)◇6349yd(パー70)
シーズン序盤のアジア2連戦を経て、米本土での今季初戦となった3月「ドライブオン選手権」で渋野日向子は7位に入った。これがシーズンを通して唯一のトップ10入り。早い段階で上々の成績を出した裏では違和感を抱えてもいた。
<< 下に続く >>
「自分が目指していた球筋とは違いましたし…。あの時、めちゃくちゃフェードだったので」。オフから取り組んできたスイング改造は縦の動きを目指し、トップが下がらないことがポイントだった。右に曲がるボールを変化の過程と割り切ろうにも、理想のドローを打てるイメージが湧きづらい葛藤も抱えていたようだ。
上半身の動きをメインとする意識づけは腕の力みにつながり、4月に発症した左手親指の痛みの遠因となったかもしれないという。「試合に出られないんじゃないかと思っていたくらいだった」。ショット練習を回避せざるを得ない時期を過ごし、テンフィンガーグリップへの挑戦とインターロッキングへの回帰を経験。自己ワーストとなる日米ツアー5戦連続予選落ちも喫した。
「まあ、ボロボロですよね。ケガのせいにもしたくないですけど、(親指が)痛くなってしまったのは自分の責任だし、そこから何もできなかったのも自分の責任だし、結局、自分が悪い。1年を通して中途半端だった」
痛みが出ないスイングを模索する中でドローの弾道は出るようになったものの、飛距離や球の高さまで求めるのは難しい状態。8月「スコットランド女子オープン」で予選ラウンドを首位通過したこともあったが、4日間を通して安定したプレーを続けられないもどかしさとはシーズン最後の試合まで付き合う結果になった。シード圏外で“最終戦”を迎えたここまでの戦いも、ラストチャンスの72ホールも、味わった悔しさを挙げればきりがない。
「落ちるところまで落ちたんで…」。いつもの自虐節のようでいて、続く言葉に、はい上がろうとする気概がにじむ。「また何かにチャレンジしていかないといけないと前向きな考えではあります。こういう経験ができて、すごくありがたい」
25歳のバースデーを3日後に控え、2023年シーズンは終わった。思い描いていたものとはほど遠くても、しっかりと胸に刻み込む。新たな1年を笑って締めくくるために。(フロリダ州ベルエア/亀山泰宏)
亀山泰宏(かめやまやすひろ) プロフィール
1987年、静岡県生まれ。スポーツ新聞社を経て2019年にGDO入社。高校時代にチームが甲子園に出場したときはメンバー外で記録員。当時、相手投手の攻略法を選手に授けたという身に覚えのないエピソードで取材を受け、記事になったことがある。