“週末ほど安全策”のナゾを解く 4日間“+5”の鬼門ホールで馬場咲希は何を思ったのか
◇米国女子◇JMイーグルLA選手権 最終日(19日)◇エルカバレロCC (カリフォルニア州)◇6679yd(パー72)
全体3組目、午前8時45分のティオフは最終組よりちょうど5時間早い。優勝争いから遠く離れたポジションで立った前半2番のティイングエリアで、馬場咲希は5Wを握っていた。ティボックスに近い右端で構え、持ち球のフェードでフェアウェイ右サイドに置く。その狙いを、ロープの外から見ているだけでは測りかねた。
左ドッグレッグの難関ホールは、現在取り組むドローボールで挑むには格好のロケーション。1Wを握った初日は「超いいドロー」とテンションを上げる会心のショットでフェアウェイど真ん中を捉えていた。通算イーブンパー62位からスコアを伸ばすしかない最終日。きょうこそドライバーでドローを打っていくと勝手に思っていた。
2日目に左に大きくミスしてロストボールとなってダブルボギー、3日目は3Wでダフって右のがけ下まで曲げてダブルボギー…。間違いなく“鬼門”と言えるホールだ。最終日はさらに番手を下げ、球筋も変えた。ガードバンカーからの3打目をうまく寄せながら、パーパットを決めきれずボギー。週末にかけて、より“安全策”を選んでいるように映った。
ラウンド後、失礼を承知で聞いてみると、帯同キャディとの話し合いで決めたマネジメントだったという。練習ラウンドから1Wでドローを打つことに意欲的にトライしてきたが、「“ロストでダボ”ってなっちゃうなら、パーでもボギーでも1打でも減らせるマネジメント方がいいねっていう話になって。それで(3日目は)ドライバーが危ないからウッドで刻もうと話し合ったのに、ダフって右にポンッとかやっちゃって、またダボを打っちゃった。なので、さらにひと番手下げて…」。1Wなら越えていける林も5Wでは難しいため、この日だけフェードを打った。
馬場自身は、試合の中でこそ1Wでドローを打つ挑戦を継続していきたい気持ちが強かったとも話す。その上で「キャディさんの意見も分かる。試合だから、この順位だとしても1打でも良く…というのは分かるので」。下部エプソンツアーを経て臨む米ツアーは2年目だが、プロキャディと本格的にタッグを組むのは今シーズンから。「5番(ウッド)で打ってボギーだけど、(ダブルボギーからは)1打縮めたんで。ティショットはこっちの方が良かったのかな」。冗談めかしていても、相棒の助言も、取り入れるところは取り入れることによって初めて見えてくることがあると感じている。
ルーキーとして最上位資格「カテゴリー1」を確保した昨季の戦いを通して感じたのは、理想と現実に折り合いをつける難しさ。「自分がやりたいゴルフっていうのが、(必ずしも)こういうレベルの高い場所だと通用しないというのは去年も感じたこと。いいゴルフをしているつもりでもスコアが作れないことは結構あった。マネジメントの仕方も、もっと丁寧にしていかないといけない」
とはいえ、自分よりツアー経験豊富なキャディと組む中で“言いなり”になるつもりもない。「自分の攻めたい気持ち(を貫くこと)も大切だと思う。それがないとね、バーディが獲れないかもしれないから」と笑った。力を合わせながら、我を出すところは出して。最後に持ち前の冒険心をのぞかせた。(カリフォルニア州ロサンゼルス/亀山泰宏)
亀山泰宏(かめやまやすひろ) プロフィール
1987年、静岡県生まれ。スポーツ新聞社を経て2019年にGDO入社。高校時代にチームが甲子園に出場したときはメンバー外で記録員。当時、相手投手の攻略法を選手に授けたという身に覚えのないエピソードで取材を受け、記事になったことがある。