“閑古鳥”だった初日、冠スポンサーとレジェンドの駆け引き…女子メジャー初戦の伝統と未来は
◇女子メジャー第1戦◇シェブロン選手権 最終日(26日)◇メモリアルパークGC(テキサス州)◇6811yd(パー72)
大会初日、午後組がプレー中のコースは静けさすら感じた。前年覇者の西郷真央、世界ランキング2位で24年覇者のネリー・コルダ、23年覇者のリリア・ヴの最注目組について歩くギャラリーは少し多かったが、それでも100人はいない。タフなコースセッティング、必死に立ち向かう選手たちのハイレベルなプレーとは裏腹に、ロープ外の“熱気”は今季の女子メジャー初戦として明らかに物足りなかった。
1983年のメジャー昇格前から一貫してトーナメントを開催していたカリフォルニア州ミッションヒルズCCに区切りをつけ、テキサス州ザ・クラブatカールトン・ウッズに舞台を移したのが2023年。さらにことしからは、よりヒューストン中心部に近いメモリアルパークGCに変更された。
名門を中心にコースを巡る形で歴史を重ねてきた「全米女子オープン」「KPMG全米女子プロ選手権」「AIG女子オープン(全英女子)」の3大会、2013年のメジャー昇格前から開催地をフランス・エビアンリゾートGCに固定している「アムンディ エビアン選手権」に対し、テキサス移転後のこの大会はゴルフファンへの定着を模索している段階にあると感じる。シーズン最初のメジャーをうたい、優勝者が池に飛び込む儀式を継承するだけではそれも難しいのが現状だ。
週末にかけて明らかにギャラリーが増えたのは、ツアー随一の人気を誇るコルダが独走態勢を築いた試合展開によるところが大きいとみられ、大会の継続的な盛り上がりを保証するものとは言い切れない。SNSでは、最終組がスタートしてから1時間半近く中継も配信もなかったことを指摘する声が少なくなかった。興行面で男子のPGAツアーに大きく水をあけられているLPGA(米国女子プロゴルフ協会)が抱える課題の縮図とみることもできる。
昨季限りで引退し、歴代優勝者としてスポットで復帰した元世界ランク1位のステーシー・ルイスが大会のミッションヒルズCCへのカムバックを目指して動いているという声を聞く。そして、冠スポンサーである米国の石油大手シェブロンが頑としてヒューストン開催を譲らないとも…。
深さ4フィート(約1.2m)の特設プールで“無理やり感”が否めなかった優勝者のダイブは、2020年の改修を手掛けた設計家トム・ドークが大会終了後に18番ホールを改めてデザインし、右サイドにハザードの池を造る予定となっている。このままヒューストンで新たな伝統を紡いでいく形となるのか――。記録的なインパクトも十分だったコルダの優勝で大団円を迎えたメジャー初戦の未来は不透明さをはらんでいる。(テキサス州ヒューストン/亀山泰宏)
亀山泰宏(かめやまやすひろ) プロフィール
1987年、静岡県生まれ。スポーツ新聞社を経て2019年にGDO入社。高校時代にチームが甲子園に出場したときはメンバー外で記録員。当時、相手投手の攻略法を選手に授けたという身に覚えのないエピソードで取材を受け、記事になったことがある。