2010年 エビアンマスターズ
期間:07/22〜07/25 場所:エビアンマスターズGC(フランス)
何故、メディアセンターの電気は消えたのか?
今週、総勢17名の日本人選手が訪れているLPGAツアーの「エビアンマスターズ」。開催地はフランスとスイス国境、美しいレマン湖のほとりにあるエビアンマスターズGC。日本でもミネラルウォーターでおなじみ、あのエビアンだ。
昨年、宮里藍がLPGAツアー初優勝を飾った大会でもあり、僕は今年初めてこの大会を取材することになった。久しぶりのフランス。アメリカやイギリスに行く機会は多いが、フランス語圏はめったにない。ジュネーブ空港に降り立ってすぐ、違う文化圏に来たことを感じ始めた。
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まず驚いたのは空港内にあるカフェ。店の真ん中にオープンキッチンがあり、テーブルから照明、食器まですべてがおしゃれ。簡単な食事の盛り付けにも工夫がこなされていて感嘆した。さらに、ホテルに着いて地下駐車場に車を入れようとしたのだが、中に入ると真っ暗でまるで迷路のようになっている。受付で地下2階に停めるように地図を渡されたが、どこから地下に行けば良いのか、皆目見当がつかない。暗い中を行ったり来たりしながら、ようやく地下へのスロープを発見した。
自分の部屋のあるフロアに上がってからも、日本だとエレベーターを降りると部屋番号毎に右か左か分かるように案内があるが、そんなものは一切なし。真っ黒なドアの右上の方に小さく部屋番号が掛かれたプレートがあるだけで、それを頼りになんとか自分の部屋にたどり着いた。まるでロールプレイングゲームをやっているかのような気分。手探りでスイッチを見つけてようやく部屋の電気が付くと、一つ謎解きをしたような感覚になる。
大会初日を終えた青山加織が不可解そうに話していた。「フルショットで90ヤードしか飛ばないのに、95ヤードのピンをキャリーで越えて奥まで行っちゃったんですよね…」。どうやらコース内の距離表示の信憑性にも疑問があるようだ。こういう事に慣れて、克服して行くことが世界で戦うということなのだろう。宮里藍のように自分の中にぶれない軸を作るということも、その一助になるに違いない。
そうこうしていると、突然我々が作業しているメディアセンターの照明が消されて真っ暗になった。その数分前から、フランス人スタッフが机の上の電気スタンドを点けて何やら作業していたので、節電か停電に備えていたのかと思ったが、聞いてみると理由は違った。「電気を消したら涼しくなると思ったの」。いやはや、素敵な感覚だ。(編集部:今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka