メジャーVへ首位と5打差も…横峯さくら「全然見えない」
2014年 全米女子オープン
期間:06/19〜06/22 場所:パインハーストNO.2(ノースカロライナ州)
最年少優勝なるか 世界1位の18歳アマを後押ししたウェブの篤志
日本の女子ゴルフ界で今を時めく高校1年生・勝みなみが、5月の国内女子メジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」に出場した際、対面を待ち望んでいた選手の名に、宮里藍だけでなくアマチュア選手を挙げたのが印象的だった。現在世界アマチュアランキングでトップに君臨するミンジー・リーだ。
オーストラリア出身の18歳のスーパーアマは、今週ノースカロライナ州のパインハーストNo.2で開催中の「全米女子オープン」で、予選ラウンドを3位で通過。3日目は「72」とスコアを落としながらも順位をキープし、首位との差は4ストロークの通算2オーバー。存分に実力を示し、2008年の朴仁妃(韓国)の19歳11ヶ月17日の史上最年少優勝記録を更新する可能性を秘めて最終日を迎えることになった。
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初出場のリーだが、「全米女子オープン」の会場に足を踏み入れたのは、実は今回が2度目。昨年、オーストラリアのジュニア育成プログラム内の「カリー・ウェブ・シリーズ・スカラシップ」という奨学制度により、出場していたウェブに帯同し、セボナックGCで行われた大会を訪問。母国の偉大な先輩ととっておきの時間を過ごした。
「大会期間中に一緒に過ごすチャンスがあって、本当にプライスレスな時間だった。今までで最高の経験だった。このフィールドに出てみたいと心底思いました。彼女はずっと私のアイドル」
ウェブも3日目を終えた段階で1打後ろの7位タイにつけている。だから、リーはこの週末、ともに上位で戦えることがなにせ嬉しい。「リーダーボードに一緒に名前が載るなんて…」。憧れの舞台に、憧れの人と一緒にいる。今度はロープの中で。ちょうど1年を経て、その距離をグッと縮めたことに興奮を隠せていない。
そもそもこの奨学制度はウェブ本人が発案したもので、2008年にスタートした。
ウェブはその趣旨を「子供たちはUSオープンを見るべきだと思って。世界で最大のイベントだから。私にとっても、彼女たちから学ぶことがたくさんある。初めて知るようなみずみずしい観点を持っているしね。成長を見るのが本当に楽しみだし、私も子供たちのキャリアの一部になれたら」と語った。
韓国の“朴セリ・キッズ”をはじめ、男女を問わず世界中で偉大なトッププロたちがその背中を見せ、後進を育てている。宮里藍も今週、日本から来た後輩たちに何度となく記念写真をせがまれ、「なんか、変な感じ」と笑って応じていた。
第一線を退いてからではタイムラグが生まれる。望ましい世代交代は、後輩たちの熱意もさることながら、先人たちのリーダーシップがやはり欠かせない。(ノースカロライナ州パインハースト/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw