松山英樹は6位タイ!日本人初の快挙にも「悔しい」
2013年 全英オープン
期間:07/18〜07/21 場所:ミュアフィールド(スコットランド)
松山英樹の歩む道
武術の極意に入り身(いりみ)というものがある。相手に対して一歩踏み込んで間合いを消し、攻守において先手を取る。剣道で言えば、相手の剣先に近づくために本能的には危険を感じるが、たとえ差し違えても気が勝っている分、相手に与える損害の方が大きくなる。
日本が誇る若武者・松山英樹が歩く姿を見て、「あれは入り身だ」といった人がいる。肩より頭を前に突き出し、肩で風切るように歩いて行く。「ずっとこういう勝負をしているから、ああいう歩き方になったんだろう。勝負師の歩き方だな」。
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我らが大将を護衛するのは、超望遠から広角まで、最新鋭の機材を両肩から下げ、背中には現場から伝送するためのパソコンまで背負い込んだカメラマンたちと、双眼鏡にノートとペン、そして水と食料を携帯してどこまでも付き従うライターたち。総勢数十名の報道陣がリンクスの枯れ草を踏み分け行進する姿を見て、ギャラリーからは「ジャパニーズ・アーミー(日本軍)が来た」と揶揄される。
ミュアフィールドで行われた「全英オープン」。土曜日の15番グリーンで一度目の遅延プレーを取られた松山は、17番のティショットを左に曲げてギャラリーの背中にぶつけてしまう。2打目地点に行き、背中を押さえる日本人のおじさんを確認すると、すぐに自分がしていた手袋にマジックでサインを書いてそれを手渡す。周囲からは大きな拍手。キャディが草むらを乗り越えてフェアウェイまでの距離を歩測し、松山は枯れ草を切り裂きながらフェアウェイへと球を戻す。そこで、2度目の遅延プレーを宣告されて1罰打が課せられた。
憮然とし、納得できない素振りの松山だったが、次の4打目でグリーンを捉えると、20メートルはあろうかというパーパットはカップを触った。「むかつくから、絶対パーを獲ろうと思った。あそこでパーを獲れていたら、次もボギーは叩かなかったっすよ」。その晩、松山は阿部監督らにそう強がった。「よし、じゃあ明日は1番、2番でバーディを獲れ。それで昨日の分はチャラ。3番からが最終日だ」と阿部監督。「なに言ってるんすか、あそこは1番、2番が一番難しいんすよ」。松山は丁々発止とやり返した。
大会最終日、構想通りには行かなかったが、風と寒さが強まる中でもきっちりと1アンダーでのラウンド。6位タイへと順位を上げて初の全英を終えた松山だが、「悔しさの方が強い」と、にこりともしなかった。
丸山茂樹が5位に入った02年のミュアフィールド。最終日、丸山組には川田太三氏がルーラーとして帯同していた。中盤、ずるずるとスコアを落とす丸山を見て、川田氏は立場を越えて思わず声を掛けてしまったという。「おまえ、頑張れよ。こんなチャンス、そうそうあるもんじゃない。これはメジャーなんだ。普通の大会とは違うんだよ!」
川田氏が感じていたのも、メジャー大会の重さであり、一打の重さだったはず。松山が一打差で優勝を逃していたら・・・、それを一番恐れたのはR&Aだったかもしれない。だが、我らが大将はそんなことは意に介さない。今日も平然と我が道を歩いて行く。(英国ミュアフィールド/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka
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