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2014年 RBCヘリテージ
期間:04/17〜04/20 場所:ハーバータウンGL(サウスカロライナ州)

米ツアー2年目 石川遼が見せた“経験力”

米国男子ツアーでは、選手が競技委員とあれこれやり合っているのは良く見かけるシーン。1打に懸ける選手の執念が垣間見える場面だ。「RBCヘリテージ」3日目の15番ホール、石川遼も毅然と難局に立ち向かった。

左にドッグレッグしていく588ヤードのパー5。2打目を右に曲げた石川の球は、林の中へと転がり込んだ。3打目地点に行ってグリーン方向を見れば、前方にはギャラリースタンドが掛かっている。救済を受けられることは明らかな場面。だが石川は慎重だった。

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立ち会った競技委員と共に、まずは救済のニアレストポイントを確認する。球の左方向にあるそのポイントから1クラブレングス以内にドロップすることが選択肢の1つ。しかし、ドロップする位置からは、グリーン方向に2本の木が前後に立ち並び、その間は1メートルの幅も無い。だが、2本目の木に寄り添うように、映像を飛ばすためのアンテナが鉄製の棒にくくりつけられていた。

石川は競技委員に確認した。「もしここにドロップしたら、新たな救済は受けられるのか?」答えはイエスだった。

2度目の救済を受けることで、目の前の木も同時に回避して、グリーンへの視界が開けてくる。そこまでを確認した上で、石川は最初の球をピックアップして、スタンドの障害を回避するためにドロップ。さらに、そこから2個目の障害(アンテナ)を回避するためのドロップをし、結果次のショットでグリーンを捉えてバーディをもぎ取った。

この間、石川は競技委員とすべて英語でやりとりをした。「会話ができないと難しい。競技委員としては“選手がどこに打つか”というのが一番大事。1発目はピンに(障害が)かぶっているのは明らかだけど、“実際にそっちに打ちますか?”ということを聞かれる。“打ちます”って答えたし、2発目も“リョウがここに打つんだったら救済を受けられる”というのを先に聞いた」。

過去には、「自分のコミュニケーション力の無さで苦い思いをしてきた」と石川。回避できたはずの障害や、聞いておけば良かったという経験も少なくなかったという。「しっかりルールを理解して、選手が主張して、ルールをうまく使っていく」。米国ツアーでは誰もがやっていることだが、この1打が生む違いは小さくない。球を打つ技術だけでは無い、石川の逞しさが感じられた瞬間だった。(サウスカロライナ州ヒルトンヘッド/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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