「片山晋呉・ネスレ日本マッチプレー選手権」特集ページ
<堀江x高岡 3>「なぜ日本企業もスポーツ界も衰退するのかというと、まさしくマーケティングの欠如なんです」
ネスレ高岡浩三社長x堀江貴文 対談その3(全4回)
【高岡】ものすごいマーケットです。ある意味ヨーロピアンツアーも、日本のツアーと同じように困っているわけですよ。要するに、もうアメリカ一極になっちゃったんですね。僕は、将来的には、アメリカとヨーロッパとアジアっていう三極があって、まあ、ライダーカップに代わるような、三者で世界一を戦うような、新しいインターナショナルな選手権ができたらいいなと思うんです。だけど、それができた頃に果たして日本人選手がどのくらいアジア代表でいるかっていうのは逆に心配。韓国、タイ、中国で占められないかと。今の話じゃないですよ。今から5年、10年後の話。そういうことを考えても、やはり、厳しい環境の中で戦っていく日本選手が増えて欲しいっていうのは、グローバル企業として思いますね。
【堀江】うーん。
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【高岡】だから実はね、スポーツ界も経済界でも抱えている問題は一緒だと思うんです。どこをこれから戦略的に攻めていかなきゃいけないか、まだみんな見えてないんじゃないかな。
【堀江】まだ見えてないんですか。
【高岡】まだだと感じています。どうして見えないんだろうと思うことが多いですね(笑)
【堀江】サッカー(Jリーグ)とかもそうだと思うんですよ。あれはもう、完全にマーケティングのやり方の失敗ですよね。
【高岡】僕は今、フィリップ・コトラーさんていうね、世界のマーケティングの神様と言われている人と一緒に仕事をしていて、今年の秋から、日本で彼が主催する世界最大のマーケティングイベントをやるんですよ。
【堀江】はい
【高岡】要するに日本というのはマーケティングが全部欠如している。先進国のわりには圧倒的にマーケティングの発展途上国ですよ。本来、民間企業だけではなくて、政治とか、それからNPO、NGOにもマーケティングがないといけないっていうのがコトラーさんの考え方であって、当然ながらスポーツもそうなんです。
【堀江】うーん。
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【高岡】そういう観点からすると、なぜ日本企業もスポーツ界も停滞するのかというと、まさしくマーケティングの欠如なんです。新興国の時代、まあ高度成長と言われた時代は、人口も戦後50年間で5000万人増えている。労働力もコストも安くて、労働力の質も良かった時代は、良いものをすごく安く作って、欧米に追いつけた。そういう競争力があったから、マーケティングなんか必要なかった。
【堀江】うーん。
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【高岡】ところが、バブルが来て先進国の仲間を入りして、労働力もコストも世界一高くなった時点で、すっかりその競争力がなくなった。それから20年間なにも変わってないことが、日本の一番の問題だと思うんです。それは経済界も政治の世界も、それからスポーツも実は全部根は一緒なんじゃないか、そんな想いで今回の大会を企画したんですよ。
【堀江】ああ、すばらしい。
- 堀江貴文
- 1972年福岡県八女市生まれ。東京大学在学中の96年に有限会社オン・ザ・エッヂを設立。エッジ、ライブドアと社名を変え、プロ野球球団やニッポン放送買収で世間の注目を集める。05年には衆議院の総選挙にも立候補したが、翌年に証券取引法違反で逮捕され、11年6月に収監。刑期を終えた現在はSNS株式会社のファウンダー兼従業員として活動を行っている。愛称はホリエモン。
- 高岡浩三 ネスレ日本社長兼CEO
- 1960年大阪府生まれ。1983年神戸大学経営学部卒。同年、ネスレ日本株式会社入社(営業本部東京支店)。各種ブランドマネジャー等を経て、ネスレコンフェクショナリー株式会社マーケティング本部長として「キットカット」受験キャンペーンを成功させる。2005年、ネスレコンフェクショナリー株式会社代表取締役社長に就任、2010年、ネスレ日本株式会社代表取締役副社長飲料事業本部長として新しいネスカフェ・ビジネスモデルを提案・構築。利益率の低い日本の食品業界において、新しいビジネスモデルを追求しながら超高収益企業の土台をつくる。同年11月ネスレ日本株式会社代表取締役社長兼CEOに就任。