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小田孔明 未知数の実力を秘めた、未完の大器

手嶋多一との出会い

小田のゴルフとの出会いは、小学校1年生のころに訪れた。当時クラブも握ったことがなかった小田は、手嶋多一の実家が経営する福岡県のゴルフ練習場にたまたま父親に連れられ、練習に打ち込む手島の姿を見た。「中学生くらいの多一さんを見て、それまでゴルフがまったく分からなかった僕が見ても“上手いなあ”と思いました」と心奪われたという。そんな小田を見た手嶋の父親からゴルフを勧められ、「それじゃあ、やってみようかなと。親父にゴルフを真剣にやるかと聞かれて、“やる!”と答えたのが始まりですね」

そして、単にゴルフに興味を示しただけの小学生には想像も及ばない、父・憲翁さんとのマンツーマンによる“超”スパルタ教育が始まったのだ。

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「学校から帰ったら、腹筋、腕立て、スクワット、鉄アレイを毎日300回ずつ。それが終わるまでは遊びにも行けないし、晩御飯も食べられませんでした。小学校2年生から続けたんですが、初めのころは晩ゴハンを食べるのは9時ごろでしたね」という、成人男性でも音を上げるような地獄のメニュー。

「かなり辛かったですよ。周りの友達と遊んだ記憶もないし、基本的に学校から帰ったら家の中でトレーニングの日々でした。トレーニングが終われば素振りを300回。本当にきつかったですね」と、笑いながら振り返る小田。「でも、今思えば、あれがあったからこそ今の体力があるんだと思えてきましたけどね」。

父親と二人三脚で生み出したプレースタイル

「中学生のころは反抗期で、(父親が)見ていないところでサボったりしていましたが、それでも中学卒業ごろまでは続けていました」というハードなトレーニングの賜物か、小田の肉体は、同年代の中では頭1つ抜けて強靭なものに仕上がっていた。「高校時代はタイトルを取ってはいませんでしたが、飛ばしでは誰にも負けないという自負がありました。自分がナンバーワンだと思っていましたね」。

現在、国内ツアートップレベルの飛距離能力を誇る小田のスイングとパワーは、憲翁さんの厳しい指導により培われたといえる。現在の平均飛距離は、海外選手にもひけをとらない300ヤード。それでも、憲翁さんにとっては満足できない数字らしい。「親父には、もっと真面目にトレーニングをやっていれば 400ヤードくらい飛んでいたのに、と今でも言われるんですよ」と苦笑していた。

小田のスイング、特にアイアンショットは個性的だ。「僕のスイングって独特でしょ。小さいころから親父に教わってきたから」というスイングは、コンパクトに打ち込む“パンチショット”気味。ティショットで距離を稼ぎ、方向性に優れた低い弾道を放つアイアンショットで確実にグリーンをとらえる。安定したスコアを生むツアー屈指のパーオン率の高さは、小田が築き上げたプレースタイルが実を結んだものなのだ。「今も、スイングに関しては親父以外の人に教えてもらおうとは思いません。親父に見てもらうと、すぐに良くなりますしね」と、絶大な信頼を置いている。

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