5アンダーで発進した石田鈴千代

◇国内男子◇ダンロップ・スリクソン福島オープン 初日（24日）◇グランディ那須白河ゴルフクラブ (福島)◇6961yd（パー72）

成績を残して賞金を稼ぎ、顔と名前を売っていくのがプロゴルファーという職業。若手からベテランまでバラエティ豊かな顔ぶれとなっている上位陣の中でも、ひときわ目を引く名前がある。

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5アンダーの石田鈴千代（いしだ・すずちよ）は、下部AbemaTVツアーが主戦場の36歳。祖父・鈴松（すずまつ）さん、父・鈴春（すずはる）さんと続く「鈴」の字を受け継いだ名前には、「千代まで続くように」という壮大な願いが込められている。コロナ禍の昨年、第一子となる長男が誕生。鈴親（すずちか）と名付けた。「千代までずっとなので、とりあえず4代目です。継承できて『やったぞ』じゃないですけど…」と笑った。

もともと中学までバスケットボールをプレーし、ゴルフ好きの鈴春さんが喜ぶかもしれないと栃木・佐野日大高でゴルフ部に飛び込んだ。15歳から本格的に始めた競技は「20年、ちょっとずつ上がっている感じ。下がってはいないけど、ちょっとずつ」。初めてファイナルQTに進んだのが2016年、レギュラーツアーで初の予選通過がその2年後。地道な歩みの先でチャンスが訪れた。

池上憲士郎。名前の由来は「お察しの通りです」

同じく5アンダーの池上憲士郎は29歳。今週から取り入れたアームロックスタイルのパッティングがはまった。「お察しの通りです」という名前の由来は、もちろん漫画「北斗の拳」の主人公・ケンシロウ。母・由佳理さんが大好きで、「男やったらケンシロウ、女やったらユリア。確定事項だったらしいです」。ちなみに一人っ子。ケンシロウの妹がユリアになることはなかった。

意外過ぎる過去も明かす。「僕の実家、漫画とかゲームとか“禁止”だったんです。母は好きなはずなんですけど、僕が漫画を持って帰ったりすると怒られました。ポケモン（ポケットモンスター）とかも、やったことない」と真顔で言う。“本物”のケンシロウを見たのは高校に入ってからだった。

「痛いのは嫌いなので（笑）」と格闘技などに興味を示すこともなく、香川西高では木下稜介、東北福祉大では松山英樹と1学年上に「ストイックな人だらけ」の環境で腕を磨いてきた。「この名前で良かったって思いますよ。いまはすごく好きです。（自分の名前が）好きとか、気持ち悪いですか？」。ケンシロウっぽくない柔和なトーンで笑わせた。（福島県西郷村／亀山泰宏）