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「三度見した」リーダーボードの記憶 木下稜介の覚醒を促した惜敗

◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 事前(10日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)

プロアマ戦が行われた開幕前日、パッティンググリーンから見えるリーダーボードには1年前の最終日のスコアが再現されていた。「思い出しますねえ…」。木下稜介は記憶をかみしめるように言った。

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首位タイから出た最終組でのプレー。「17番でパーセーブして、1打差で(自分が)トップだと思っていた」。18番(パー5)グリーン脇のリーダーボードは、セカンド地点の選手からは見えない角度で設置されている。2打目をレイアップ、3打目をグリーンに乗せてから、18番でイーグルを決めた1組前の香妻陣一朗に逆転を許していることを知った。「“三度見”くらいはしましたよ」と苦笑交じりに振り返る。

「負けることで成長させてもらえた。マイナスに考えることが嫌いなので、いまとなっては『あそこで負けて(むしろ)良かったかな』って思っています」。6月に悲願の初優勝を含め2試合連続でタイトルをつかみ、賞金レースをリードする立場で終盤戦を迎えているからこその言葉でもあるが、1打差惜敗で冬の取り組みがガラリと変わったことは胸を張って言える。「オフの間、あの悔しさを持って過ごせたことが本当に大きかった」

奥嶋誠昭コーチとともにスイング改造に踏み切る覚悟が決まった。「手で打っていたから、1日良くても4日間はもたない。再現性の高いスイングにしよう、と」。フックグリップの握りを1㎝ほどスクエアに。それまで培ってきた感覚を失いそうな恐怖に襲われたのが2月くらいのことだったという。

「すべてを変えたから、(思うように)振れないし、なかなか『80』も切れなかったんです。『(4月に)間に合うの?』って感じで文句ばっかり言ってたんですけど(笑)、コーチを信じてやり抜きました」。ウェートトレーニングの負荷を上げることで、肉体の面からもアプローチ。2021年初戦だった「東建ホームメイトカップ」で優勝争いを演じ、確かな自信をつかんだ。

「賞金王を獲りたい思いは、本当に強い。コーチからは通過点と言われていますし、米国とか海外で戦うことを目指して取り組んでいるつもり。(自分でも)通過点と思いたいけど、どうしても意識はしてしまう。賞金王を獲って、来年からは海外の試合に積極的に出ていきたい」。1年前のリベンジとなれば、夢のマネーキングもグッと近づく。(静岡県御殿場市/亀山泰宏)

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2021年 三井住友VISA太平洋マスターズ



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