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賞金には目もくれず 米澤蓮がQT終了後にプロ転向したワケ

◇国内男子◇ファイナルQT 最終日(10日)◇トム・ワトソンGC(宮崎)◇6984yd(パー72)

来季の出場権を争うファイナルQTの場は例年、有望なアマチュア選手のプロ転向の場という側面も持っている。アマ資格を放棄し、国内男子ツアーを主戦場とすべく日本ゴルフツアー機構(JGTO)にプロ転向届けを提出。今年の河本力(日体大4年)や芹澤慈眼(東北福祉大4年)らほとんどの学生選手が最終予選会の前にこの手続きを済ませる。

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来春に卒業を控える東北福祉大の4年生、米澤蓮(よねざわ・れん)は珍しいケースだった。試合前にプロ転向すれば、この予選会に設けられた賞金を手にできたが、アマチュア選手のままプレー。「先週(3次予選会)はアマチュアとして良いプレーをしたので、今週も良い流れを持っていきたかった」というのが理由。「お金も欲しいですけど、目先のものに固執してすべてを手放すのは一番もったいない。後悔すると思うんです」。ユニークな考えを貫き、72ホールの戦いを終えた10日午後、会場での書類作業を通じてプロになった。

2020―21年シーズンを賞金ランキング2位で終えた金谷拓実の1つ年下の後輩。昨今の若手選手の台頭を予感させた2018年の「アジア大会」で日本に20年ぶりの金メダルをもたらした当時の団体戦のメンバーが金谷、今野大喜中島啓太(日体大3年)、そして米澤だった。2019年には「ダイヤモンドカップ」でアマチュア優勝を1打差で逃したほか、今年の「日本オープン」でローアマチュアを獲得。潜在能力の高さがうかがい知れる。

最終予選会は通算7オーバーの55位と振るわず、レギュラーツアーの出場権は今回つかめなかった。「アマチュアとして最後の試合が納得のいかないまま終わったのは残念。単純に実力のなさが出た。真摯に受け止めて来年に向けて調整できれば」。最終日の朝に携帯電話を紛失するなど、コース内外でなんだか不運に見舞われた一週間を苦笑いで嘆いた。

ナショナルチーム出身、エリートアマチュアのひとりとしての船出は順風満帆とはいかないが、長いスパンでキャリアを見据えればこれも短い時間に過ぎない。「みなさんに応援してもらえるポイントがなんでもいいからあって、身近に感じてもらえるプロゴルファーになりたい」。実直にゴルフと向き合うプロがまたひとり誕生した。(宮崎県宮崎市/桂川洋一)

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