女子プロたちの涙 2021年ベストショット3選
20年後も気にかけてます 2021年ベストショット3選【松本朝子】
日常と非日常が交錯した2021年。緑の芝の上で繰り広げられたゲームを取り巻く光景も、また同じだった。フォトグラファーたちはそんな中、二度と訪れない瞬間の数々を切り取ってきた。GDOとともに旅を続けたプロフェッショナルが選んだ今年の3枚。第3回は松本朝子カメラマン編。
<パナソニックオープンレディース最終日 上田桃子>
歓声も拍手もあったはずなのに時が止まったような、無音かと感じさせるような。それでも上田桃子さんの感情は、ガツンと力強く心に届いてくるような…
<< 下に続く >>
ゴルフカメラマンは正直、精神的にも体力的にもかなりハードな仕事。それでも、アスリートが積み上げてきたものが報われる瞬間、こちらまで胸が詰まるような表情、思わず息を止めてしまうような緊張感を間近で感じられます。こんなに刺激的で楽しい仕事もなかなかないと思うのです。
凛とした姿に、同じ女性として心の底から憧れました。上田桃子さん、最高にかっこよかったです。
<マイナビABCチャンピオンシップ初日 久常涼>
久常涼さんは思い入れのある選手のひとりです。
わたしにとって、ゴルフを知るきっかけとなったのは2019年の「トヨタジュニアワールドカップ」でした。女子代表は梶谷翼さん、山下美夢有さん、岩井明愛さん。男子代表は杉浦悠太さん、大嶋宝さん、宇喜多飛翔さん、そして久常さん。
久常さんは高校生の頃からしっかり人の目を見て挨拶をしてくれるところが好印象で、意志の強そうな視線や堂々としたたたずまいがとてもかっこいい選手です。かと思えば、下部ツアーで優勝したときに見せた、慣れないスピーチでのはにかんだ笑顔は年相応で。
この先、彼がレギュラーツアーで優勝カップを掲げる姿を見るのがとても楽しみです。欲を言えば私もその瞬間に居合わせたい、彼の感情が爆発している瞬間を撮ってみたい。
5年後も10年後も20年後も、わたしは2019年のトヨタジュニア代表選手全員を、ずっと気にかけているのだと思います。
<GMOインターネット・レディース最終日 カメラマン>
わたしがゴルフトーナメントの撮影をしていることをきっかけに、ゴルフ競技に興味を持つようになった友人がいます。「プレーの写真もいいけど、ボランティアやカメラマンといった裏方さんのシーンは面白い」と言います。
ほかのカメラマンの方々の仕事姿は大変勉強になります。同じ場所にいても、撮る人が違えば同じ写真にはなりません。
「手を振って下さ~い!」このカメラマンたちの撮った若林舞衣子さんのお手振り写真も、どこかで見られるはず。これまで大勢のカメラマンが撮ってきたゴルフ写真を見て、競技やプロゴルファーに興味を持つようになった誰かがどこかにいると思うと、ちょっとワクワクしてきます。