初日首位の藤田寛之は一歩後退 谷口徹の怖さは…
2006年度国内男子レビュー 際立った王者の強さと若手の台頭
3年連続賞金王を狙う片山晋呉に、実力を蓄えてきた中堅と成長著しい若手が挑む。“ストップ・ザ・シンゴ”に注目が集まった2006年シーズン。その包囲網をものともしなかった片山は、やはり強かった。
3戦目の「中日クラウンズ」で早々と1勝目を挙げると、その後5試合を3位タイ、3位タイ、4位、2位、2位と常に優勝争いに絡む好調ぶりで、ハイペースで賞金を加算させてゆく。そして9月の「フジサンケイクラシック」で2勝目を挙げると、10月の「コカ・コーラ東海クラシック」でも3位タイに入り、早々と国内賞金総額1億円を突破。さらに3試合後の「ABCチャンピオンシップ」でも優勝し、日本人では2002年の谷口徹以来となる年間3勝目を達成。最終戦まで好調を維持し続け、青木功、尾崎将司に次ぐ3人目の3年連続賞金王に輝いた。
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終わってみれば、片山の圧倒的な存在感だけがイメージに残ったかもしれない。しかし、中盤戦まで片山と肩を並べ、賞金王争いを演じていた若きプレーヤーがいた。前年度PGAツアーに挑戦していた28歳の谷原秀人だ。7戦目の「JCBクラシック仙台」で片山晋呉との直接対決を制した谷原は、「片山さんをやっつけられるのは僕だけ」と豪語し、一躍賞金王候補に名乗りを挙げた。さらに初出場の全英オープンでは5位タイに入り、約3300万円の賞金を加算。片山との賞金差額を一気に縮めると、「サン・クロレラクラシック」で今季2勝目を達成し、海外を含めた賞金総額で片山を逆転する。結局、後半戦は失速して片山に約6000万円もの大差をつけられるが、今後も片山を脅かす第一勢力となる期待感を抱かせてくれた。
若手といえば、今季の初優勝組にもフレッシュな選手が多く名を連ねた。29歳の近藤智弘が「日本プロゴルフ選手権大会」、「ANAオープンゴルフトーナメント」と2勝を達成。さらに「マンダムルシードよみうりオープン」では33歳の増田伸洋、「マンシングウェアオープンKSBカップ」では28歳の武藤俊憲、「アサヒ緑健よみうり・麻生飯塚メモリアルオープンゴルフトーナメント」では、全英オープンにも出場した同じく28歳の市原建彦が初勝利。誰もが体験する1勝目の厚い壁を乗り越え、今後さらなる飛躍が期待できるだろう。来シーズン以降、片山が長期政権を築くのか。それともヤングエイジが新時代を築くのだろうか。