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失意の帰国から“日本一” 岩崎亜久竜は再び世界へ

◇国内メジャー◇日本オープンゴルフ選手権競技 最終日(15日)◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪)◇7315yd(パー70)◇晴れ(観衆7718人)

確かに抱いていたはずの自信や期待がしぼんでいくことが何より苦しかった。岩崎亜久竜はことしから昨季日本ツアー賞金ランキング3位の資格でDPワールドツアー(欧州ツアー)に挑戦した。

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「最初の方は自信もありました」。しかし、現実は甘くない。出場15試合のうち3試合だった予選通過は、5月にベルギーで行われた「ソウダルオープン」が最後。限られた出場機会で、試合ごとに国境をまたいで戦うような感覚。気候も芝質も違い、時差や食事面への対応だって求められる。ショットがばらついていることは分かっていても、移動に時間がかかるため絶対的な練習量をなかなか確保できないジレンマも抱えた。

通信制の高校時代は遠征費の足しになればとアルバイトにも励んだ苦労人。アジア下部ツアーの出場権を獲得したタイミングがコロナ禍と重なってスケジュールが真っ白になる憂き目を見た。「試合に出られない時は、出られない“だけ”のつらさ。希望とか自信が失われることはなかった。でも、ことしの方はホントに打ちのめされる感じで、しんどかったですね」。出場した分だけメンタルを削られていく日々は、やはりつらい。

タフなセッティングに立ち向かう攻め方の見直しを迫られる中、ショートゲームの練習を増やすなど得たものはあった。久常涼が優勝した9月「カズーオープンdeフランス」を終えて帰国。欧州で出られる全日程を消化して日本ツアーに切り替えようにも不安でいっぱいだった。「去年のような状況に戻れるのか…」。黒宮幹仁コーチとも話し合い、自らを奮い立たせた。「とにかく頑張るしかない」

技術面を再整備し、フィジカル的なコンディションも「万全にしてもらえた」とサポートに感謝する今週、最高の結果が出た。5年シードに加え、初メジャーとなる来年7月「全英オープン」(スコットランド・ロイヤルトゥルーン)の切符を獲得。「すごくデカいチャンスをいただいた。自分の中で足りないところはちゃんと理解できましたし、そこを取り組んでいけば、必ず川村(昌弘)さんみたいにヨーロッパでも活躍できるはず。最終的には米国で、松山(英樹)さんと同じところでプレーしたい」と力を込める。

両親の海外赴任中に生まれた姉・安珠(あんじぇ)さんに続き、「海外で通用する名前を」とつけてもらった「亜久竜(あぐり)」。一度は夢破れた舞台を諦めていない。(大阪府茨木市/亀山泰宏)

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