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“クラチャン”になってでも出たかった御殿場から 今平周吾が賞金王争いに殴り込み

◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日(12日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)◇曇り(観衆9014人)

ジュニア時代、今平周吾は御殿場に何度となく足を運び、スーパースターの姿を目に焼き付けていた。「昔は招待選手も出ていて。(セルヒオ・)ガルシアにダレン・クラークも…」。自分も海外の一流選手と同じフィールドに立ってみたい――。そんな純粋な一心で、ある策に打って出た。

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全国にゴルフ場を持つ太平洋クラブのメンバー・ナンバーワンであるクラブ選手権王者は例年、「三井住友VISA太平洋マスターズ」に出場できる。2011年当時、会員だった今平はプロ転向直前にこのアマチュア競技にエントリー。武者修行先の米国から帰ってきたばかりの18歳は「周りはオジサンしかいなかった…。でも、1回だけ出ようと」と強い思いで年長者をなぎ倒し、狙い通り優勝して本戦でプレー。25位の成績は、優勝した松山英樹に次ぐアマとして2番目だった。

憧れ続けた大会のタイトルを手に入れるまで、それから12年かかった。後続に2打差をつけて迎えた最終日、2mのバーディチャンスを生かした前半3番(パー5)で4打差に広げても、同じ最終組の吉田泰基に最後まで粘られた。9番で第2打を右に曲げてボギー。油断ならない状況で、1カ月前の悔しい思いが力になった。

10月の「ACNチャンピオンシップ」。首位から出た最終日に「72」をたたいて稲森佑貴にかわされ、開幕戦以来の2勝目を逃した。「あのときは“目玉”になった場面の後『乗せれば何とかなったのに…』と、引きずっていた。きょうはどんな状況でも受け入れて、そのホールを終えたら新しい気持ちで、一つひとつクリアしようと思った」。2バーディ、2ボギーの「70」でスタート時と同じ通算12アンダー。1Wを抜き、3Wを2本入れた異例のクラブセッティングも駆使した1打差の逃げ切りは、精神面の成長の証しだった。

9位だった賞金ランキングで3位に浮上。いずれも4000万円の優勝賞金がかかる3試合を残して2018、19年以来、3回目の賞金王戴冠の可能性が再び出てきた。トップの中島啓太との差、約3448万円は1試合でひっくり返る可能性がある額だ。

「もう1ミリもチャンスはないだろうなと思っていたけれど、秋口に勝つと差が縮まる」と息を吹き返した。勢いのある後輩たちに「2人ともアグレッシブに攻める。今までの世代はセーフティな感じが多かったけれど」とプレースタイルの違いを感じてやまないが、経験値には差がある。「しっかりフェアウェイをキープして、そこから攻めるのが自分のスタイルかなと今週感じた」。10年以上、トッププロとして鳴らしたキャリアに自負がある。(静岡県御殿場市/桂川洋一)

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2023年 三井住友VISA太平洋マスターズ



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