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「十箇条」は声に出して 杉浦悠太の変わらぬ謙虚さ

◇国内メジャー第2戦◇日本プロゴルフ選手権大会 最終日(7日)◇富士カントリー可児C志野C(岐阜)◇7201yd(パー72)◇晴れ(4491人)

グリーンの手前側に立つピンの難しさは痛いほど分かっていた。ダブルボギーをたたくと蝉川泰果に追いつかれてしまう最終18番、杉浦悠太は花道からの4打目でパターを握った。ナショナルチーム時代に磨いたウェッジ以外でのアプローチ。50cmに寄せ、相手をボギーで振り切った一打には、長年の恩師の後押しもあった。

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愛知県出身の杉浦は父・博倫(ひろみち)さんの手ほどきで4歳でクラブを握り、近くのゴルフスクールで本格的にキャリアをスタートさせた。プロコーチ・江連忠によるゴルフアカデミーの愛知校の一期生。奥雅次コーチの指導を当時から受けてきた。

今大会のコースは中部地方の各種競技が行われており、奥コーチも選手としてプレー経験が何度もある。「あそこからはパターじゃないと寄らないんです」。グリーンの手前からウェッジで寄せるのは至難の業。急こう配を登り切らずボールが足元に戻れば、プレーオフはおろか逆転負けだってありえる。最終日の朝、「一回、パターで打ってみい。今週の距離感なら絶対に寄る」と助言された教え子は見事に寄せて逃げ切った。

コーチ曰く、幼い頃から「本当にいい子で(指導者が)怒ることもなかった」模範生だった。競技でも、「プロがドライバーでバーンって打っていく中で、『3Wのローフェードでイイですかね』なんて言って、ベテランみたいなことをしていた」と周りに惑わされない精神的な強さがあった。

昨年11月「ダンロップフェニックス」で史上7人目のアマチュア優勝を達成し、プロ転向してからもゴルフに打ち込む姿勢は同じ。雨で事前ラウンドができなかった今大会直前の月曜日、杉浦はアカデミーを訪れて練習した。ジュニアや一般アマチュア、周りの生徒さんは驚くしかない。

アカデミーには、ジュニアに向けの“標語”めいた「十箇条」がある。奥コーチが明かす。「ストレッチやトレーニングの前に、ひとりのジュニアの子が読み上げた後にみんなが続くんです。『あいさつは自分で大きな声で』…とかですね。悠太は小さい子たちと一緒に身体を動かし始めたと思ったら、それも一緒に声に出して読み始めて…。おいおい、と(笑)」。アマチュアを卒業し、賞金を稼ぎ始めても、根の謙虚さは変わっていない。(岐阜県可児市/桂川洋一)

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