3つの握りに“覚悟”の一打 堀川未来夢がイップス乗り越え和合で栄冠
◇国内男子◇中日クラウンズ 最終日(3日)◇名古屋GC和合C(愛知)◇6557yd(パー70)◇曇り(観衆5437人)
2019年の最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」プレー中に、突如グリーン上で違和感を覚えた。「右手がインパクトの瞬間に反応するようになって。そこから真っ直ぐ打つことができなくなった」。和合で4年ぶりのツアー5勝目を遂げた堀川未来夢は回顧する。「これは、恐らくイップスだなと」
もともと強みでもあったパッティングに前触れなく起きた症状。2mのパッティングがカップ3つ分ほど外れる。ロングパットをウェッジで打たざるを得ない「どうにもならない状態」だった。以降は様々な握りを試し、現在は右手を添えるようにするクロウグリップをベースに細かな調整を加える。この日はラインや距離によって「親指と人差し指を離してみたり」3つの握りを使い分けた。ボールの位置を変えたり、カップを見ないで打つこともある。昨季平均パット数2位の「1.7038」は、試行錯誤の末に「イップスの“隠し方”が上手くつかめた」努力の結晶だ。
パッティングの不振はティショットにも波及した。「ゴルフってつながっていて。パットで右手の震えが出はじめたら、次のティショットにもすごい違和感が出る」。プレッシャーのかかる場面では、症状がより顕著になる。「ドライバー(1W)を持ったホールはほとんど林」。ドライバーを握る機会は減り、3W以下のクラブで刻む場面が増えた。
いまも違和感は消えておらず、1Wでナイスショットが打てるイメージは持てないままだ。それでも、1組うしろの細野勇策に1打リードの単独首位で迎えた最終18番では1Wを握った。3Wで刻めば、左足下がりで180ydほどの2打目が残り、ボギーの確率が高まる。「フォロー(の風)が吹いていて、このホールで1Wを持てなかったら、たぶん今後も持てるところはほぼないな」。左バンカー方向を狙い、右へのミスの要素を消す。勝負の一打は「幸いにも左に飛んで」ラフにとどまり、2打目をピン手前7mに運んでパー。4位から3打差を逆転する7バーディ「63」でプレーし、仲間たちから祝福のウォーターシャワーを浴びた。
突然の“病魔”に見舞われても腐ることなく前を向き続けた。「逆にゴルフの熱量が上がって練習量が増えた」という。逆境をバネに這い上がる努力が、和合での初勝利に結実。「ことしはチャンスがあると思っている」と話す年間王者に向けても、価値ある春先での勝利となった。(愛知県東郷町/塚田達也)