師匠と妻の思いに応えて 砂川公佑が“守らず攻めるゴルフ”でつかんだ初優勝
◇日韓共催◇シンハンドンヘオープン 最終日(13日)◇ジャック・ニクラスGC(韓国)◇7502yd(パー72)
後続と2打差で迎えた18番(パー5)のティイングエリアで、砂川公佑はティショットを待つ間、何度も地面を踏みつけた。「緊張が極限に達して脚がすごく震えていました。軸をしっかり保つために、地面を強く踏みしめて耐えていました」。優勝会見でそう振り返りながら笑った。
3番ウッドでフェアウェイ左サイドをとらえた。レイアップ後の3打目は「緩むのだけは絶対ダメだと思って打った」と6番アイアンでグリーン奥まで運んだ。「奥に行ってもいいかなと思っていました。練習でいい感じにできていたんで」。難しいアプローチも、58度のウェッジで1m近くに寄せてパー。2打差を守って初優勝をたぐり寄せた。
「最後のほうは池がらみのホールが多く、しっかりパーをとるにも攻めないといけない。逃げずに攻めのティショットを選択し、より良い位置へボールを運べたことが良かった。自分自身の成長や変化を感じた部分でした。緊張はしていましたが、今日は一打一打冷静でした」
昨年11月、大岩龍一にプレーオフの末、惜敗の2位に終わった「カシオワールドオープン」などの経験が生きた。「守りに入りすぎて長いパットを残し、ボギーを叩いてしまった」という苦い過去が教訓になった。「守るのではなく敢えて攻める。行くべきところはしっかり行くというメリハリのあるプレーが大事」。優勝争いでも“守らず攻める姿勢”を貫けた一日だった。
“攻めたパー”の象徴は8番(パー3)だ。ティショットをグリーン右のショートサイドに外し、「もう絶対に寄らない」という状況。しかし、グリーンに上がって「これはイケるかも」と奥の傾斜を利用することを考えた。フワッと球を上げて奥に落としたボールが、見事にピン50cmまで戻った。「ちゃんと突っ込まないと戻ってこなかったので、ちょっとギャンブルでした。ラッキーでしたね」とうれしそうに振り返った。
「守りに入らない」スタイルは、師匠であるシニアプロの寺西明の教えでもある。高校1年生の時、素晴らしい球筋に見惚れて弟子入りを志願した。普段から「逃げすぎても勝てない」「メリハリをつける」というメンタル面を教わってきた。前日も電話で「勝ちそうな気がする」と背中を押された。砂川は「やっと勝てましたと言いたいです」と喜びをかみしめた。
支えとなったのは師匠だけではない。「初優勝を奥様の前でできたのはうれしい」と仕事を休んで急きょ韓国までかけつけてくれた香里(かおり)夫人にいいところを見せられた。
ポイントラインキングは7位に浮上し、PGAツアー「ベイカレントクラシック」(10月8日開幕/神奈川・横浜CC)の出場権、2週後「リシャール・ミル チャリティトーナメント」終了時のランク6位以内(有資格者を除く)も見えてきた。だが、それより次週17日開幕「ANAオープン」がまず重要だ。舞台は香里夫人の故郷・北海道の札幌GC輪厚C。「スポンサーさんが輪厚の競技委員長なので、その方から優勝トロフィを受け取りたい。奥さんの地元でもありますし」。初優勝の余韻と確かな成長を胸に、砂川は北の大地に向かう。(韓国・仁川/服部謙二郎)