高見和宏がミノザ、中嶋常幸とのプレーオフを制し2年ぶり大会制覇
ツアープレーヤーたちのこだわり<中嶋常幸>
先週のカシオワールドオープンで中嶋常幸が今季自己ベスト順位の4位に食い込み、賞金ランク61位に終わりました。
同大会開催前の中嶋のランキングは、シード“圏外”の72位。
自身の“最終戦”で賞金ランクによるシード入りを果たしたことになりますが、中嶋のこだわりは、また別のところにありました。
“出場義務競技数”の消化です。
規定により、ある一部をのぞいて基本的に選手たちには、年間をとおして16競技出場(WGC・海外メジャーを含む)しないと、たとえ賞金ランキングでシード圏内に入っても、来季の出場権が与えられないことになっています(※注意1)。
中嶋は今年6月に左背筋痛で約3ヶ月の戦線離脱を余儀なくされました。9月に復帰を果たしてからも、再発の不安の中での戦いが続き、義務競技数が果たせるかは微妙なところでした。
実は、16試合目にあたる先週のカシオワールドオープンも直前に風邪をひいてしまい、けして万全とはいえませんでした。それでも懸命に体調管理につとめ、みごと義務競技数を達成したばかりか、3日目には今季自己ベストスコアの65をマークするなど大活躍で、2003年シーズンを走りきったのです。
ツアー通算47勝をあげている中嶋は、1973年のツアー制度施行後25勝以上の者に与えられる“永久シード権”を持つ選手のひとりです。つまり、賞金ランキングや義務競技数にかかわらず、来年の出場権は無条件で与えられるので、あえて試合数にしばられる必要はどこにもありませんでした。
加齢とともに、どうしても出られる試合は限られてきます。今年の中嶋のように、深刻な怪我などが重なればなおのことです。
にもかかわらず、それらの条件に甘えることは、中嶋のプライドがどうしても許さなかったのです。
「選手として、義務競技数さえもこなせないのはどうかなあ・・・と思ってね。なんとか、16試合を達成させたくてがんばってきた。最後に、なんとかそこに辿りつけたことが本当に嬉しいね」と中嶋。
春先、湯原信光からすすめられて1日2回、かならず服用していた漢方薬の効果か、この4日間は懸念されていた背中の痛みもまったく出なかったそうです。
「これで今年のオフは、また一からきっちりトレーニングがやり直せる実感も湧いてきたよ。・・・もう、これは湯原さまさまだね!(笑)
ノブ(湯原の愛称)には、今年お歳暮でも贈っとくか?!」などとジョークも飛び出し、最終日は笑顔が絶えませんでした。
今週の今季ツアー最終戦『ゴルフ日本シリーズJTカップ』には、今年は残念ながら出場権利がありませんが、2週後のアジア・ジャパン沖縄オープン(※注意2)には出場を予定しています。
「沖縄でもうひと暴れもふた暴れもするつもりだよ!見ててね」
49歳が、ますます元気です。
※注意1・・・出場義務競技数は、その年、ファイナルQTの資格で参戦している者など、一部選手には課せられません。
※注意2・・・アジア・ジャパン沖縄オープンは今月12月18日から開催ですが、獲得賞金は来年2004年シーズンに加算されます。
日本ゴルフツアー機構が発刊しているメールマガジン(プレーヤーズラウンジ)より転載しています。