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「自分が思うより…うまいかも」岩田寛36歳、ついに覚醒か?

◇国内男子&アジア共同主管◇パナソニックオープン選手権 3日目(22日)◇千葉カントリークラブ梅郷コース(千葉)◇7130yd(パー71)

一瞬、耳を疑ったのは新岡隆三郎キャディの方だった。「この球すごくない?」と言ったのは岩田寛。2番(パー4、517yd)の第2打。残り187ydから5Iを振り抜くと、力強く飛び出した球は、わずかに右にフェードしながら糸を引くようにピンに向かって飛んでいった。「打ってすぐ言いましたからね」と新岡。それは、長らく不振にあえぐ岩田が、ついに巡り会った会心の1打だった。

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「最近は良い球が出ても、まぐれで出ている感じだった。2番に関してはスイングも、音も、スピン量も一致した」と岩田は言う。「うれしかったから、ずっとそのショットのことを考えていた」と、5バーディ1ボギーの「67」で通算9アンダーとしたラウンド中も、その余韻の中でプレーした。「(あのショットが)出てくれたので、向かう方向みたいなのが分かったのかな…って思いますね」。

2016年から米PGAツアーにフル参戦。だが、今季の出場権を懸けたウェブドットコムツアーファイナルズ最終戦がハリケーンの影響で中止になる不運もあって、出場機会は限られている。今季は米ツアー6試合に出場し、予選落ちが4度。国内ツアーも3戦で予選突破は1度だけ。コースや練習場で、不満やいらだちをむき出しにする岩田の姿が、最近の日常となっていた。

それが、気づけば首位と1打差の2位で、ツアー3勝目に手の届く最終日を迎える。最近の自身の状態を考えれば、目の前の現実に違和感があることは否定できない。「不思議だなって思いますね。でも…」と岩田。「ひょっとしたら、自分が思っているよりも、ちょっとうまいのかもしれないですね」。会心のショット以上に珍しい、自分自身への賛辞だった。

優勝への自信を問われると「自信かぁ」。36歳は予期せぬものに突然出会ったような表情を浮かべて「そういうのは考えていなかったです」と口ごもった。頼れるもの、確かめたいのはあの感触だ。「いまは早く練習場に行きたいです」と言い残し、ゆっくりと会見場の席を立った。(千葉県野田市/今岡涼太)

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