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「イップスを受け入れている」浅地洋佑の戦い

◇国内男子◇RIZAP KBCオーガスタゴルフトーナメント 2日目(24日)◇芥屋ゴルフ倶楽部(福岡)◇7151yd(パー72)

3アンダーの19位から出た浅地洋佑が4バーディ、3ボギーの「71」で回り、通算4アンダーの8位タイに浮上した。4位に入った5月の「関西オープン」以来、約3カ月ぶりの決勝ラウンド進出。ツアー初勝利が待たれる25歳は人知れず、もう一年以上もグリーン上で自分と戦っている。

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異変を感じたのは、昨年4月の国内ツアー「東建ホームメイトカップ」までさかのぼる。パッティングのアドレスに入ると違和感が体を襲う。「テークバックが上がらない。“入れごろ、外しごろ”の2、3mで…。50㎝でもちゃんと上がらない」。苦労が続き、賞金ランキング77位で今季の第2シードこそ確保したが、気持ちは晴れないまま。そして「ゴルフどころじゃない」という状態はこの夏場に再来した。ツアー外競技も含め7月の3試合で長尺パターも使用したが、「ISPSハンダマッチプレー選手権」で、また不振に陥った。

「これもダメか…。なにかヒントはないのか」。悩みが振り出しに戻り、再び暗闇に入ったと思った直後、一冊の書籍に出会った。都内にある普段通いの練習場のゴルフショップで、馴染みの店主に手渡されたレッスン本。PGAツアーでも多くの選手を抱えるパッティングコーチ、デイブ・ストックトンの著書を一気に読破すると、目の前が明るくなった気がした。

「今まで僕は球をしっかり打つことだけに執着していた。でも(本の中に)『球は打つんじゃなくて、転がすものだ』とあって、イメージをそう変えたことで、テークバックもスムーズに上がるようになったし、うまく転がってくれるようになった」。この日の会心の一打は12番(パー3)。わずか4mの距離でも「ちゃんと打たないと“よれて”しまうライン。カップの真ん中から入って気持ちよかった」。好位置で予選を通過した結果はもとより、しっかり「転がせた」ことが何よりの自信になった。

「自分でもイップスだと言っています。イップスを受け入れています」と正直だ。「きょうは楽しくできました。パターが打てるようになったのが一番の原因です。冗談抜きで、(パットだけの)左打ちまで考えたんです。でも…今の感じなら左打ちはしなくて済みそう」

もちろん、わずか18ホールの出来で完治したとは思わない。「完全にはまだ治っていないですけど、良くなってきてはいる。まだ克服の最中。これで何試合か…1カ月と、この調子が続けば、『克服した』と言えますけど、まだ言えないです」。先の見えない孤独な戦い。必ずケリをつけてみせる。(福岡県糸島市/桂川洋一)

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