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最終グリーンで「震えた」全英覇者の手 渋野日向子は惜敗に1人涙

◇国内女子◇NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 最終日(18日)◇軽井沢72ゴルフ北コース(長野県)◇6705yd(パー72)

目を閉じて、パターのシャフトを握りしめた。「何が何だか、わからなかった。最後にぜんぶ台無しにした」。溢れ出る感情を、必死に抑える。悔しさをこめるように、パターで足を数回たたいた――。

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渋野日向子は、首位タイで迎えた最終18番で3パットのボギー。通算13アンダーの3位に終わり、2週前に制した「AIG全英女子オープン」から帰国後の初優勝を逃した。

凱旋2試合目の逆転優勝へ。フィーバーに沸く軽井沢で、20歳はそんなフィナーレを予感させる舞台を整えた。1打差2位で出た最終組からジワジワと追い上げ、首位に並んでハーフターン。17番(パー3)の終了後に、スコアボードで順位を確認した。「セカンドまでは緊張もなかったし、良かった」と、張り詰める空気の中でピン右5mにパーオン成功。同じ5mのウィニングパットを決め切った「全英」を彷彿とさせるシーンを目に焼き付けようと、観客がグリーンを取り囲んだ。

入れば優勝のパットを前に「手が震えていた」。過去にもある経験だが、「今までの優勝争いで、一番手が動かなかった」という。「オーバーだけは、させる」と強気に打ったが、すぐに外れる覚悟をした。ボールはカップ横をすり抜けて2mオーバー。同組選手のプレーを待つ時間は、たったの数分だけ。仕切り直したつもりだったが、返しも左に外れる。観客のため息だけが響いた。

「返しも、手はあんまり動かなかったですね。最後は、(カップに)かすりもしなかった。本当に情けない」

人前では悔しさを押し殺し、気丈に振舞った。ただ、一度クラブハウスに戻ると1人隠れ、涙をぬぐった。「頑張って笑おうとしましたけど。ちょっと(涙が)出ちゃいましたね。でも、人に見せるものでもないですし」。記者会見場では「最後の緊張は何で、ですかね。自分でも理由はわからない。プレッシャーがあったわけではない。でも、ここ最近では、一番悔しい」と吐露しつつ、「最後のボギーの仕方がダメですね。情けねー」と笑わせた。

帰国2連戦目は、疲労もあってラウンド後のショット練習を控える中、「ショットが良くなかったけど、パーを拾えた」と振り返る。最終日のパーオン率は50%ながら、前半アウトは9パット(計23パット)に収めてノーボギー。苦しい状況でも、急成長中のパット技術で必死にスコアを作り、賞金総額は目標とする1億円に迫る8479万円に積み上げた。「経験だけで、終わらせちゃいけない。また、ひたすら練習するしかない。悔しさはきっと(次に)つながる」。

次週は地元の岡山県で4週ぶりのオフを過ごし、29日に開幕する「ニトリレディス」に備える。「家でもゆっくりしたい。県外にいって、外の空気を吸うのもいい。ソフトボールもしたい。とりあえず、ゴルフのことを忘れたい(笑)」。多くの人に笑顔を届けながら、必死に走り続けた3週間。また1つ強くなるための経験を持ち帰り、体をほんの少しだけ休ませる。(長野県軽井沢町/林洋平)

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