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「何が何でもやってやる」 全英に屈した稲見萌寧が初体験のプレーオフでV

◇国内女子◇スタンレーレディスゴルフトーナメント 最終日(11日)◇東名CC(静岡)◇6572yd(パー72)

「全英に行ったから、きょうは微風だね」。平均4m/s以上の風を浴びながら、隣にいるコーチ兼キャディ(奥嶋誠昭さん)がそう言った。稲見萌寧は「私は微風には感じなかったんですけど…」と明かしつつも、思いはそう変わらない。「全英女子は暴風雨。きょうは“ゴルフ日和の風”」。過酷なメジャーを知った21歳は、タフだった。

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タイガー・ウッズをイメージして、赤と黒のコーディネートで臨んだ混戦の短期決戦。首位に1打差から出た稲見は、2つスコアを伸ばして迎えた上がり4ホールで3バーディを奪い、ノーボギーで「67」。最終18番(パー5)では残り116ydの3打目を9Iでコントロールしてピンそば70㎝につけ、浅井咲希ペ・ソンウ(韓国)とのプレーオフに持ち込んだ。

自身初の“延長戦”、三つどもえの戦いにも「良い緊張感もあって楽しかった。どれだけ強い気持ちでいられるかだと思っていた」と揺るがなかった。1Wショットは「“マン振り”しました。ビビってミスするよりも、思い切りやってミスしたほうが良い」。同じ18番で、3打目に残したのは正規のラウンド時よりも30dy短い86yd。4mのウィニングパットも「入れる気満々」。上りのわずかなスライスラインを強気で打ち抜き、ガッツポーズを繰り返した。

初優勝を挙げた昨年7月の「センチュリー21レディス」から約1年、今年8月「AIG女子オープン」(全英女子)でメジャーに初出場した。リンクスコースと風に翻弄され、「77」、「79」と完敗で予選落ちしたが、「一回も後悔したことはない。行かなきゃ味わえない経験だったので」と言い切る。「初優勝して、満足してしまった部分があった。全英女子に出てからうまくいかなくて、必死に練習を頑張った」。厳しい風にさらされても、グラつかない強さ。もう一度、力を付けるための糧になった。

「自分で追い込んで、強くありたい」。昨季のパーオン率1位というショット力もさることながら、精神面の強さは武器だと信じている。「中途半端に追い込まれるとシュン…となるんですけど、究極的に追い込まれたら強いと自分でも思っちゃいます。ここぞ、という勝負時は何が何でもやってやる!という気持ちになる」

キャリアで何度か制した“ここぞ”の勝負時に、「プロテストのとき、初優勝のときのパター」を挙げた。「そして、今回のパターも」。もう一回り、大きくなるための自信が加わった。(静岡県裾野市/桂川洋一)

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