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中3で世界制した平塚新夢、難病と闘いながら3度目のプロテスト挑戦

新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期された日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の2020年度プロテスト1次予選が今月から始まっている。未曽有の事態の中、多くの選手が合格率「3.3%」ともされる狭き門に挑んでいる。彼女たちは何を思い、クラブを握ってきたのか? その素顔に迫る。

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■10万人に1人の病…薬の副作用で「ムーンフェース」に

21歳の平塚新夢(あむ)は、福島会場(五浦庭園CC)の1次を通算16オーバー22位タイで通過した。第2日を終えて42位タイだったが、最終日を「75」でまとめた。「最終日は立浦琴奈ちゃんと同じ組になったんです。同じDSPE(ツアープロを目指す女子ゴルファーを支援する団体)のメンバーで仲良くなっていたんで、それが救いになりました」。全選手が強風と硬いグリーンに苦戦した3日間だったが、立浦も34タイで通過し、ともに喜んだ。

3度目のプロテスト。中3で「世界ジュニアマッチプレー選手権」優勝、高3でステップツアーの「静ヒルズレディース」優勝など実積を残しているが、その歩みを「病」が止めた。高校を卒業した18年のことだ。「最初に受けたテストは1次を通って、2次にエントリーしていたのですが、直前に群発頭痛になって欠場に。ただ、この年まではテストに合格していなくても、QT(ツアー予選会)を受けられたので、ファーストを通ってセカンドに向けて調整していました。でも、ここでも病気が発症して…」

成人スチル病。「10万人に1人」が発症する、国の指定難病だった。「発熱、発疹、関節の節々が痛くなって、車のシートベルトもできないほど。すぐに入院。みんながゴルフをしている時、私はベッドの上でした」。しかし、本当の苦しみはそれからだった。症状を抑えるために服用したステロイド剤の副作用で、顔が丸くなる「ムーンフェース」の状態に…。「QTを受けられなかったのは仕方ない、と割り切れましたが、この顔で一生いるのかと思うと、生きているのが辛かったです。それに、体重が一気に10キロ増えました。肩回りにも肉がついて、スイングがしづらくもなりました」

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■11歳で東日本大震災…「波乱万丈」の人生は今年が岐路

それでも、ゴルフは続けた。宮城県石巻市で生まれ、9歳でクラブを握った。11歳の時には東日本大震災で自宅の1階が浸水したが、2カ月後には、父親に勧められて試合に出場した。その流れで中学、高校と米国遠征を繰り返した。「天才少女」だったゆえに、周囲の期待感は高く、本人も「波乱万丈の人生になっていますが、やっぱり、テストには受かりたいです」と話す。

一方で、「ゴルフばかりをしていると、好きなゴルフに飽きてしまいます。インドアの練習場で仕事もしているので、ラウンドは週1回程度、練習でも1度に1000球なんて打ったことはありません」と話し、この先のことも冷静に考えている。「人生は短いので、若い間にいろいろと楽しみたいです。なので、今回と年内に予定されている21年度のテストでダメだったら、潔く違うことをするのもいいのかなと思ってはいます。ゴルフには携わってはいきたいですけど」

現在、成人スチル病の症状は落ち着き、薬の副作用も以前ほどではないという。そして、正確なショットを軸にした「自分のゴルフ」を取り戻してきた感覚もある。課題は2次、最終を戦い抜く体力。人生の岐路になるかもしれない今年、平塚は「人と争うことは好きじゃないけど、自分のやり方で準備をしていきます。勝負になったら勝ちたいのが本能。悔いのないようにしたいです」と覚悟を決めている。

※編注:「世界ジュニアマッチプレー選手権」優勝は中学2年時ではなく、中3時でした。見出しと本文を訂正しました

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