渋野日向子の「面白いゴルファーを目指す」というプロ意識
2021年 樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント
期間:10/29〜10/31 場所:武蔵丘GC(埼玉)
渋野日向子が取り組む飛距離アップへのトレーニング
◇国内女子◇樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 最終日(31日)◇武蔵丘GC(埼玉)◇6550yd(パー72)
専属トレーナーとして渋野日向子をサポートする斎藤大介氏は、渋野の今シーズンの状態を「身体の変化が少ない」と評価している。ケガがないことに加え、筋肉の張りや体重までシーズンを通してほぼ一定しているのだという。
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渋野が米国から帰国した今年7月、初めて本人から「飛距離を伸ばしたい」という要望を聞いた。それは、年初から取り組んできたスイング改造に一定の手応えが見え始めたことと、米ツアーで感じた飛距離への渇望がマッチしたタイミングだった。
斎藤氏は飛距離アップには、瞬発力の向上が大切だと言う。重い物を持ち上げる筋肉ではなく、短時間で強い力を生む筋肉。前者が遅筋(赤筋)で後者が速筋(白筋)と呼ばれているが、DNA検査で渋野の筋肉の性質を調べた結果、速筋(白筋)の割合が非常に高かったという。それは、陸上の投てき種目出身である両親のDNAを受け継いでいるともいえる。実際、渋野は小学生のときにソフトボール投げで58mを記録して、岡山県で2位になったこともあるほどだ。
ゴルフスイングにおける瞬発力として、斎藤氏は垂直方向へジャンプする動きを重視している。渋野も「70㎝くらいの箱に飛び乗ったり、片足で30㎝の台にジャンプしたり、バーベルに左右5kgくらいの重りを付けてスクワットからジャンプしたり…。最近は本当にジャンプ系が多いです」とトレーニング内容を明かしたが、それらはすべて飛距離アップへとつながっている。
主に以下の4種類の動きから得られるデータが、その能力の指標となる。(1)から(3)までは数値が段階的に伸びていくのが理想的で、渋野の数値は非常に優秀ということだ。
(1)膝を90度に曲げた状態からのジャンプ
(2)手を腰に当て、しゃがんだ反動を使ったジャンプ
(3)両手を自由に使ったジャンプ
(4)180度回転するジャンプ
それでも、上には上がいる。斎藤氏が指導する選手の1人に、女子のドラコン日本記録(380yd)を持つ19歳の長谷川円香プロがいる。長谷川は「男子選手並み」の数値というが、渋野のこれからのトレーニングでも良い目標となることだろう。「たぶん、(渋野)本人は他人の数値はあまり気にしていないと思いますけどね」という斎藤氏だが…。(埼玉県飯能市/今岡涼太)