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「全部ネガティブだった」 佐藤心結がプロ3年目でつかんだ涙の初優勝

◇国内女子◇スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント 最終日(6日)◇東名CC(静岡)◇6590yd(パー72)◇曇り時々晴れ(観衆3325人)

開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」から4試合連続予選落ちで始まった今季、佐藤心結は長らく失意のどん底にいた。2021年11月のプロテストに一発合格し、22年のルーキーシーズンからフルシードを獲得してスタート。2年目もシード守りプロ3年目に入ったが、川崎春花尾関彩美悠神谷そら櫻井心那竹田麗央と同世代の次々と優勝する姿に焦りはあった。

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最終日まで残った場合に限り、彼女たちが優勝争いをすれば祝福のためフィナーレまで待機し、勝利を見届けてきた。「自分の代は強いなって。良きライバルであり、刺激になる存在」と心を打たれてきたが、自身は4月「KKT杯バンテリンレディス」から再び4試合連続の予選落ち。今週前までの29試合中、17試合で決勝ラウンドに残れなかった。

「今年は『置いてかれている』というよりは、『どうやったら優勝できるだろう』と向き直す時期が多くて苦しかった」と振り返る。思えば、プロ1年目のほうが自信はあった。「年々優勝できないんじゃないか、ってなってきた。全部がネガティブだった。周りのプロがすごく上手に見えるし、自分は下手に感じて。なんでこうなっちゃうんだろうとか、頭の中はクエスチョンばかり」。何ひとつ前向きに考えられなかった。

そんな状況に光が射したのは、ツアー7勝の米山みどりから技術的なアドバイスをもらい、今季ベストの3位で終えた9月「ゴルフ5レディス」から。周囲からは「真面目」と言われる性格もあり自分のスイングを客観視できていなかっただけに、大先輩からの助言が響いた。「考えすぎて、どんどん難しくしていたので、考えをシンプルにしよう」と吹っ切れたのが大きい。シンプルな思考は、8月「CAT Ladies」でキャディを務めた2歳上の兄・俊貴(しゅんき)さんからも求められていたことだった。

首位スタートながら前半2番でボギーを喫し、首位を走る河本結との差が一時3打に広がった前半は「シンプルに考えられていなかった」と笑う。「正直なところ厳しい」と思いながらも、11番(パー5)でバーディを奪い、ボギーを喫した河本に1打差に迫ったことで気持ちは落ち着いた。14番で5mのバーディパットを沈めて首位に並んで以降は、渋野日向子らと優勝争いを演じた2021年大会の記憶も蘇りながら「楽しく、ワクワクした感覚」で回ったという。17番までの4連続バーディで混戦を一気に抜け出した。

3年前にプレーオフ2ホール目で敗れ、悔し涙を流した舞台でプロ初優勝を挙げた。「やっと1勝できた。(これで)スタートライン」と顔を上げる目線の先には、海外ツアーもある。「最終的には海外メジャーとかを見据えながらやりたい。いずれかは自分も海外に行きたい。勝てて解放されたじゃないけど、肩の荷が下りました」と晴れやかな表情で話した。(静岡県裾野市/石井操)

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